薬剤師の転職回数は平均何回くらい？転職理由の答え方や転職成功のポイントを解説
転職を考える薬剤師の中には、平均的な転職回数が気になる人もいるでしょう。また、転職回数が多いと採用時に不利になる可能性があると考えて、転職に踏み切れない薬剤師もいるのではないでしょうか。
しかし、転職回数が多いこと自体が、必ずしも選考で不利に働くとは限りません。転職理由を採用担当者へ丁寧に説明することで、好印象を与えることもできるでしょう。
本記事では、薬剤師の転職回数の目安や、転職回数の多い薬剤師の転職理由の伝え方についてお伝えするとともに、転職を成功させるためのポイントを解説します。
目次
1. 薬剤師の転職回数は平均何回くらい？
筆者の肌感覚としては、薬剤師の転職回数はおおよそ2～3回程度が一般的かと思います。20〜30代では1～2回、40代以降では3回以上の転職経験者も珍しくないでしょう。
特に女性薬剤師の場合、一般的な女性のキャリアと同様、出産や育児、配偶者の転勤などをきっかけに転職することも多いといえます。他にも、年齢やライフステージ、職場環境や価値観の変化などによって、転職に踏み切ることもあるでしょう。
筆者自身も転職を2回経験しており、転職先には必ず転職経験者がいました。周囲の薬剤師仲間も、それぞれの状況に応じて柔軟に職場を選び直したり、独立したりしています。
薬剤師が活躍できる業種は多岐にわたるため、選択肢が多い分、自身のライフイベントや価値観の変化に合わせて、働く企業や業種を選び直す傾向にあります。もちろん、一度も転職を経験していない薬剤師もいますが、働く場所や働き方を比較的柔軟に選択しやすいのは、薬剤師のキャリアの特徴といえるでしょう。
2. 薬剤師は転職回数が多いと不利になる？
薬剤師として転職回数が多いこと自体は必ずしも不利に働くわけではありません。ただし、短期間での頻繁な転職や、一貫性のない職歴は、採用側に懸念を与える可能性があります。
重要なのは、転職の背景に納得できる理由があるかどうか、そしてその経験を通じて自身のキャリアビジョンを描き、実現に向けて着実に歩んでいるかという点です。
出産や育児といった理由の他、スキルアップや職場環境の変化といった事情も多く、転職回数よりもなぜ転職してきたかが問われる傾向があります。明確な目的や目標を持って転職をしていることを適切に説明できれば、転職回数が多いからといって不利になる可能性は低くなるでしょう。
3. 転職回数の多い薬剤師が転職理由を伝えるときのポイント
転職回数が多い薬剤師は、面接で転職理由をどのように説明すればよいか、難しく感じることもあるでしょう。しかし、ポイントを押さえて説明すれば、転職回数の多さをプラスに転じさせることもできるかもしれません。ここでは、転職回数の多い薬剤師が転職理由を伝えるときのポイントについて見ていきましょう。
3-1. キャリアビジョンがあることを伝える
転職回数の多い薬剤師が転職理由を聞かれたら、「キャリアビジョンを持って転職していること」を伝えることが重要です。
「どんな薬剤師を目指しているのか」「どのような専門性を高めたいのか」を明確にした上で、転職の背景がキャリア形成の一環であることを伝えられれば、転職経験が前向きな評価となる可能性もあります。
薬剤師としてのキャリアビジョンを言語化し、過去の転職がその実現に向けたステップであることを伝えられれば、採用側に納得感を持ってもらいやすくなります。
3-2. 転職によって成長できたことを説明する
転職を通じて得た経験やスキルを具体的に伝えることで、転職経験が「成長の証」として評価される場合もあります。例えば、調剤薬局から病院勤務へ移ったことで多職種連携の重要性を学んだ、在宅医療に関わることで患者さんとの関係性の築き方を身に付けられた……など、職場ごとの学びを整理して伝えると説得力が増すでしょう。
単に職場を変えただけではなく、自身の専門性や視野が広がったことを丁寧に説明し、それぞれの職場での経験が自身の成長につながっていることを伝えるのがポイントです。
3-3. ネガティブな理由だけを述べるのは避ける
薬剤師が面接で転職理由を伝えるときに、職場での不満や人間関係の悩みなど、ネガティブな内容だけを前面に出してしまうと、採用側に自身のアピールポイントが伝わりにくくなってしまう可能性があります。過去の経験をどう受け止め、次にどう生かそうとしているかという前向きな視点を示すことが大切です。
例えば、スタッフ間の連携不足で患者対応に支障が出ていた場合は「チームで協力しながら患者さんに向き合える環境を求めた」と伝えることで、志向性が明確になります。また、長時間労働で学びの時間が取れなかった場合は「専門性を磨ける職場でスキルアップしたい」と言い換えれば、成長意欲が伝わるでしょう。転職理由の説明は、過去の課題を乗り越えようとする姿勢を示すチャンスです。
3-4. 長期的に働く意思があることを示す
転職回数が多い薬剤師でも、「今後は長く働きたい」という意思をしっかり伝えることで、採用側の信頼を得やすくなります。
例えば「育児が落ち着いたので、今後は安定した環境で専門性を深めたい」「これまでの経験を生かして地域医療に貢献したい」など、生活やキャリアの見通しを踏まえた言葉を添えると説得力が増すでしょう。
4. 薬剤師が転職を成功させるには？
薬剤師が転職を成功させるには、希望条件やキャリアプランを明確にして、自己分析やキャリアの棚卸しを行うことが大切です。その上で、企業研究や情報収集をしっかり行い、ミスマッチを防ぐよう心がけることも重要でしょう。ここでは、転職を成功させるためのポイントについてお伝えします。
4-1. 希望条件やキャリアプランを明確にする
薬剤師が転職を成功させるには、まず「どんな働き方をしたいか」「どんな職場環境が合うか」といった希望条件を整理することが大切です。年収や勤務時間だけでなく、専門性を高めたい分野や将来的なキャリアプランも含めて言語化しておくと、求人選びの軸がブレにくくなります。
面接でも「薬剤師としてどんなキャリアを築きたいか」を具体的に伝えられると、転職理由に一貫性が生まれ、説得力が増します。転職はゴールではなく、理想のキャリアを実現するための通過点という意識を持って、希望条件やキャリアプランを考えましょう。
4-2. 自己分析やキャリアの棚卸しを行う
転職活動を始める前に、薬剤師としての経験やスキルを棚卸しすることは欠かせません。どんな業務にやりがいを感じたか、どんな職場環境で力を発揮できたかなどを振り返ることで、自分に合った職場の理想像が見えてきます。特に転職回数が多い場合は、それぞれの職場で得た知識や経験、スキルを明確にしましょう。
自己分析を通じて明確化した「薬剤師としての強み」や「今後伸ばしたい分野」を反映させれば、履歴書や職務経歴書に説得力が生まれます。転職理由や志望動機に一貫性を持たせるためにも、キャリアの棚卸しは重要なステップです。
4-3. 企業研究・情報収集でミスマッチを防ぐ
希望条件に合った職場かどうかを見極めるには、企業研究を丁寧に行うことが欠かせません。納得のいく転職をかなえる鍵は、情報収集の質にあるといえます。そのため、薬剤師の転職では、求人票の条件だけで判断せず、職場の雰囲気や業務内容、教育体制などを事前に調べておくことが大切です。
実際に働いてみないと分からないことも多いため、口コミや転職エージェントの情報、現場で働く人の声などを参考にして、できるだけ入職後のギャップを防げるようにしましょう。
4-4. 十分に準備をして書類選考・面接に臨む
薬剤師の転職活動では、履歴書や職務経歴書が第一印象を決めるポイントとなります。そのため、これまでの職歴をただ並べるのではなく、「どんなスキルを身に付けたか」「どんな場面で力を発揮したか」を具体的に伝えることを意識しましょう。
面接では、転職理由や志望動機を前向きに論理立てて説明できるよう準備しておくことが大切です。転職回数が多い場合でも、過去の経験が今後のキャリアにつながっていることを示せれば、採用担当者の納得感が高まります。書類選考も面接も、自分らしさを伝えて職場との相性を確認する場であるため、転職を成功させるためには、事前の丁寧な準備が不可欠です。
4-5. 転職エージェントを活用する
薬剤師の転職活動では、転職エージェントを活用することで、情報収集や条件交渉がスムーズに進みやすくなります。また、求人票だけでは分からない職場の雰囲気や実際の業務内容、残業の実態なども、エージェントを通じて把握できることがあります。
履歴書の添削や面接対策などのサポートも受けられるため、初めての転職でも安心できるでしょう。
5. 転職回数よりも中身が重要
薬剤師のキャリア形成においては、転職回数自体よりも「どんな理由で転職したか」「どんなキャリアを描いているか」が重要といえます。転職を重ねる中で得た経験やスキルは、次の職場で生かせる財産になるはずです。
希望条件の整理や自己分析、企業研究などを丁寧に行い、十分な準備をして臨むことで、納得のいく転職につながるでしょう。自分らしいキャリアを築くための一歩として、前向きに転職活動を進めましょう。
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