レセプト業務とは?業務内容や主な勤務先、関連資格までご紹介
薬剤師の業務は、調剤や服薬指導、医薬品管理などの薬剤に関わるものが多くなりますが、レセプト業務をはじめとした各種事務も担当することがあります。レセプト業務というと、医療事務を連想する方も多いと思います。しかし、調剤薬局などでは薬剤師がレセプト作成をおこないます。
ここでは、一般的にレセプト業務とはどのような業務であるのか、主な勤務先や関連資格についてもご紹介します。
目次
1.レセプト業務とは
レセプトとは「診療報酬明細書」のことをいいます。レセプト業務は、レセプトを作成し、点検をおこない、審査支払機関へ診療報酬の請求を行う業務です。ここでは、具体的な業務内容をご紹介します。
1-1. 診療報酬の請求をおこなう
診療を行うと必ず費用が発生します。それは、医師が行う診察だけでなく、調剤薬局などで薬の調剤をした場合も同じです。患者さまの診療情報の中にある医療保険制度にしたがって、レセプトを作成します。
レセプト業務は、医療機関の収入と関わる重要な業務であるため、内容の点検は慎重に行う必要があります。診療報酬の請求先は、「国民健康保険団体連合会」や「社会保険診療報酬支払基金」といった審査支払機関になります。
1-2. 医療事務の知識が必要な仕事
医療事務は、受付や会計業務を行うとともに、レセプト作成専門としています。患者さまがどのような傷病名で受診し、どのような処置や薬が処方されたのか。医療事務は、それに応じた診療報酬点数を1ヵ月ごとにまとめ、レセプトを作成し請求を行うのです。
1-3. 月末から月初が忙しい
レセプトは、毎日提出するものではありません。患者さまごとに、1ヵ月間の診療情報をまとめて作成していきます。
その月の診療報酬は、翌月10日までに「国民健康保険団体連合会」「社会保険診療報酬支払基金」といった、審査支払機関に提出しなくてはいけません。そのため月末から翌月の10日までは、どの医療機関においても、レセプト業務に追われることが多くなります。
2.レセプト業務関連の資格
ミスのない正確なスキルが求められるレセプト業務には、関連した資格があります。資格はすべて民間資格で、種類が多いことが特徴です。業務をおこなう上で必須の資格ではありませんが、その資格をもっていることで、レセプト処理能力を証明することができます。
代表的なものとして、以下の7つがあります。
診療報酬請求事務能力認定試験 | 医療事務関係の検定試験としては最難関の資格です。医療事務に関する知識や技術が十分に備わっていることを証明するものです。 |
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医療事務技能審査試験(メディカルクラーク) | 診療報酬請求事務や窓口での患者接遇等に従事する医療事務職としての能力を備えていることを証明するものです。 |
医科医療事務管理士技能認定試験(医療事務管理士) | 日本で最初の医療事務の資格として、認知された資格です。法規や保険請求事務一般、幅広く医療事務としての能力を証明するものです。 |
医療情報実務能力検定試験(医療事務実務士) | 診療報酬請求事務の従事で求められる一定の能力を有すことを証明するものです。 |
医療事務技能認定試験 | 医療事務を目指すにあたり理解しておくべき基本的事項や算定ルール・要件を理解していることを評価・認定するものです。 |
レセプト点検業務技能検定試験 | 患者さまの病名に対しておこなわれた検査や治療、処方された薬が正しいかどうか等、請求業務の全般的知識を問うものです。 |
医事コンピュータ技能検定試験 | 医療事務のIT化に伴い、レセプトの電子化が進む中、医事コンピュータによるレセプト作成能力と医療事務、コンピュータの知識を問うものです。 |
医療事務のIT化に伴い、レセプトの電子化が進む中、医事コンピュータによるレセプト作成能力と医療事務、コンピュータの知識を問うものです。
3.未経験でもレセプト業務は可能?
レセプト業務には、資格や経験年数が必要なわけではありませんので、未経験の方でも業務を行うことができます。しかし、担っている仕事は医療機関の収入と関わるため、日々の入力をはじめ、レセプト作成や点検作業などを正確に行う必要があります。
経験も重要な糧になりますが、自ら学び、知識を積み重ねていくことも重要です。その一つの方法として、資格試験へのチャレンジをおすすめします。
4.レセプト業務の一般的な流れ
ここでは、レセプト業務の一般的な流れをご紹介しましょう。最近では、電子カルテなどを利用している病院や薬局も多く、作業はパソコンを使用して行うことが多くなっています。オンライン請求のレセプト業務をご紹介します。
4-1. 日々の入力業務
外来患者さまについては、レセプトコンピュータ(レセコン)に必要な診療情報を日ごとに入力していきます。入院患者さまについては、ひと月の精算ごとに入力します。
多くのレセコンでは、診療内容に応じたコードを入力することで、自動で診療報酬点数が計算される仕組みになっています。この入力は毎日行う業務です。
4-2. レセプト作成
レセコンに入力された1ヵ月分の診療報酬を確認しつつ、レセプトを作成します。この作業は患者さまごとに作成するので、人数に応じた時間はかかりますが、さほど手間のかかる作業ではありません。
4-3. 内容の点検
レセプト業務の中で、最も重要な作業です。作成したレセプトの点検と確認をおこなっていきます。日々の入力時に、誤りがないとは限りません。病名や診療内容に整合性がとれているかなど、入力ミスがないか、きちんと確認していきます。
診療報酬は医療機関の収入に大きく関わるため、細やかな点検が重要になります。最終的には医師に確認してもらい、レセプトが完成します。
4-4. 審査支払機関にレセプト提出
レセプトは、翌月10日までに審査支払機関に提出します。審査支払機関が内容を確認し、適切であれば診療報酬が支払われる仕組みになっています。
提出した際に、不備や誤りがあると、レセプトの差し戻し(返戻)や減点(査定)を受けることになります。レセプトの内容が不適切であった場合、収入が少なくなったり、再提出が必要になったりするため、十分な注意が必要です。
5.薬剤師もレセプト作成は必須
レセプト業務というと、病院やクリニックにおいて、医療事務が担当しているイメージがあると思います。しかし、レセプト作成はさまざまな職場で必要になります。
調剤薬局であれば、調剤薬局事務が行う場合もありますが、薬局の規模によっては、事務職を雇わず、薬剤師がレセプト作成をおこなっています。つまり、薬剤師にとってレセプト作成の知識を備える必要は十分にあるといえます。
5-1. その他レセプト業務の職場と特徴
レセプト業務のおおまかな流れは一緒ですが、業務がおこなわれる職場によって特徴が異なります。ここでは、職場ごとの特徴を見ていきましょう。
5-1-1. 病院
病院には、外来通院する患者さまや入院し治療をおこなっている患者さまがいます。一般的に患者さまが多いため、多くの医療事務スタッフが勤め、受付・会計・レセプト業務をおこなっています。
扱っているレセプトも多くなりますが、医療事務として雇われている人数も多いため、「受付」「会計」「レセプト作成」など、担当が分かれていることが多いです。
5-1-2. クリニック
病院よりも規模が小さい場合が多く、雇われている医療事務も少ない傾向にあります。そうした場合、一人で受付・会計・レセプト作成などをおこなっているケースが多いです。また、看護師が事務を担っている場合もあり、その際には、カルテの作成やレセプト作成を、看護師が行う場合もあります。クリニックの規模により、事務職を誰が担っているのかという点がポイントになります。
5-1-3. 歯科医院
レセプト作成が必要なのは、病院やクリニックだけではありません。歯科医院でも、受付・会計・レセプト作成といった事務職が求められます。医療事務スタッフが勤務している場合もありますが、歯科医師のサポートを行う歯科助手が歯科医院の事務を担っている場合も多いです。その場合、毎月のレセプト作成は、勤務する歯科助手がおこなっています。
5-1-4. 介護施設
介護施設においても、レセプト業務はあります。診療がおこなわれた場合、診療報酬も発生するのですが、多くの場合は、介護サービスをおこなったときに発生する介護報酬に関するレセプト業務です。
介護保険制度や介護保険請求の知識が必要となり、計算の方法は少し異なりますが、おおまかな流れは同じです。介護施設では、医療事務のように介護事務がレセプト業務を担っています。
6.レセプト業務は勤務先によって量が変わりやすい仕事
レセプト業務は、利用する患者さまの人数が多いほど、1ヵ月に作成するレセプトが多くなるため、勤務先の状況により、処理する量が大きく異なります。また、規模が大きい職場であれば、レセプト作成や点検を行う人数が多い場合もあり、その際には一人当たりの負担は軽減されるかも知れません。
一概にレセプト業務といっても、医療機関の種類やそれぞれの規模により、役割分担や処理しなくてはいけない量はさまざまです。どのような勤務先へいっても、レセプト業務を安心して担当できるよう、一連の流れや医療事務全般の知識を深めておくようにしましょう。
7.まとめ
病院やクリニックでは、多くの場合、レセプト業務は医療事務が担当します。病院勤めの薬剤師にとって、レセプト業務はあまり身近ではないでしょう。しかし、職場が変わり、調剤薬局などに勤めた場合、薬剤師がレセプト業務を担うことになります。
職場や勤務先が変わることで、慣れない業務が増えることは誰にとっても不安なものです。自信をもって、新しい職場にもチャレンジできるよう、この機会にレセプト業務に関する知識も増やしていきましょう。
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