薬剤師のパートの働き方とは?主な仕事内容や平均時給、メリット・デメリットまで徹底解説
薬剤師の働き方には、正社員の他に、パートや派遣社員などがありますが、基本的には、薬剤師の働き方の中でも、正社員の求人数が多い傾向にあります。その一方で「仕事と家庭の両立」や「子育て中」などといったさまざまな理由で、正社員からパートへの転向を考える方も少なくありません。
この記事では、薬剤師のパートの働き方について解説します。パート薬剤師の「職場ごとの仕事内容」や「気になる平均時給」だけでなく、パート薬剤師として働くことでのメリットとデメリットをまとめてお伝えしていますので、そろそろパートに転向しようかなと思ったら、「どんな職場」で「どんな雇用形態」で働くのが自分に合っているのか考えてみましょう。
目次
1.パートで働く薬剤師とは?
パートタイム労働者とは、非正規雇用に区分され、「パートタイマー」「アルバイト」「臨時社員」「準社員」などと呼ばれています。
ここでは、パート薬剤師の特徴について他の働き方である、フルタイムパートや派遣、正規雇用と比較しながら見ていきましょう。
1-1.パートタイムとは
パートで働く薬剤師は、正規雇用である正社員よりも短い時間で働けるという点が大きなポイントです。つまり「平日週40時間勤務」といった所定労働時間の制約がなく、会社や病院と相談して勤務時間を設定できます。
パートは非正規雇用に区分されるため多くは有期雇用で、雇用期間に期限が設けられていたり、正規雇用の所定労働時間よりも短い労働時間で勤務する傾向にあります。また、ほとんどの場合、給与形態は時給制で、賞与は支給されません。
子育てや介護などの理由で時間に制限のある方にとっては、自分の希望する時間に働けるため、人気のある働き方です。
1-2.フルタイムパートとの違い
パートとフルタイムパートとの違いは、勤務時間の長さです。パートは、正社員よりも短い時間で勤務しますが、フルタイムパートは、正社員と同様の所定労働時間で勤務します。
フルタイムで働く場合、正規雇用と非正規雇用の選択が可能で、非正規雇用を選択すると、フルタイム勤務だけど、正社員ではなくフルタイムパートという雇用形態になります。
給与は時給制で支払われる場合が多いです。長い時間勤務できるけれど、責任の重い仕事は難しいという場合に、非正規雇用でフルタイム勤務をおこなうフルタイムパートは魅力的な働き方と言えます。
1-3.派遣との違い
パートと派遣社員との主な違いは、雇用主です。パートは就業先の会社に直接雇用されますが、派遣社員は派遣会社に雇用され、就業先の会社で働くことになります。
派遣社員の場合、働くのは就業先の会社ですが、給与の支払いや福利厚生などは派遣会社の規定に従うことになり、社会保険も派遣会社の社会保険が対象です。
1-4.正規雇用との違い
パートと正規雇用との主な違いは、雇用形態、勤務時間、給与体系です。正規雇用以外のすべての雇用形態を非正規雇用と呼び、パートは非正規雇用に区分されます。
正規雇用は雇用期間が定められておらず、所定労働時間の勤務をおこない、退職や転職をしない限り定年まで働くことが可能です。また通常、月給制や年俸制で、賞与も支給されます。
2.パート薬剤師の仕事内容
パート薬剤師の仕事内容について、職場ごとに見ていきましょう。
2-1.ドラッグストア
ドラッグストアのパート薬剤師は、お客さまの要望に応じて、薬の説明や薬を選ぶためのアドバイスをおこない、医薬品を販売します。店舗によっては、レジ担当、商品の品出しや売り場の整備、花粉症や感染症対策といった季節商品の選定など幅広い業務をおこなうこともあります。在庫管理やシフト調整などのマネジメント業務は主に正社員が担当するため、ドラッグストアのパート薬剤師は接客がメインの仕事となるでしょう。
また、ドラッグストアでは、パートであっても土日や夜間の出勤を求められるケースがあります。夜間の方が日中よりも時給が高いため、週1回のシフトで効率的に収入を得ることもでき、パート薬剤師にとっては魅力的な働き方と言えるでしょう。
2-2.調剤薬局
調剤薬局では、パート薬剤師は主に患者さん対応をおこないます。処方箋の指示どおりに薬の調剤や監査をしたり、患者さんに直接服薬指導をおこなったりします。希望する場合には、患者さんの施設や自宅を訪問して訪問薬剤管理指導を任されることもあるようです。
基本的には正社員と同様の仕事内容ですが、在庫管理や書類作成などのマネジメント業務はあまりおこないません。
2-3.病院・クリニック
病院やクリニックのパート薬剤師は、内服薬と注射薬の調剤・監査、外来患者さんと入院患者さんへの服薬指導、持参薬鑑別などの業務をおこなっています。
薬剤師の数が多い病院では、「調剤室」や「注射室」「病棟担当」などと薬局内で部署が分かれており、そのような病院では、担当病棟を割り振られる病棟担当ではなく、調剤室や注射室などを担当するケースが多いようです。
一方で薬剤師の数が多くない病院では、パート薬剤師もすべての業務に携われる場合が多く、委員会活動にも参加できるため、オールラウンダーとして薬剤師のキャリアを継続したい方には魅力的な職場と言えます。
3.パート薬剤師の平均時給はどれくらい?
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、パート薬剤師の平均時給は、2,845円です。令和4年度のパートタイム労働者の平均時給が1,248円であることを考えると、パート薬剤師の平均時給は約2倍であり、短時間で効率よく収入を得られる働き方であることがよくわかります。
参照元:厚生労働省/令和5年賃金構造基本統計調査 短時間労働者の職種(小分類)別1時間当たり所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
職場ごとに比較してみると、一般的には、調剤薬局やドラッグストアの方が、病院やクリニックに比べて時給が高くなっています。
時給 | |
---|---|
ドラッグストア | 2,500~3,000円 |
調剤薬局 | 2,000~2,500円 |
病院・クリニック | 1,800~2,200円 |
ただし、個人のキャリアや専門資格によって、時給が相場よりも高くなることもあります。さらには、働きはじめてからの勤務態度やスキルを見て時給があがる職場もあるようです。
「勤務時間は短くても、多少責任の重い仕事をしたい」「キャリアアップをあきらめたくない」という方は、パート薬剤師の時給を仕事の裁量次第で昇給してくれる職場を選ぶのもおすすめです。このような給与面の内情について知見の深いキャリアアドバイザーに相談すると良いでしょう。
また、人手が足りない時間帯や地域は時給が高い設定にしている調剤薬局やドラッグストアが多いのも現状です。時間帯で見ると、土日・祝日の平均時給は平日昼間の+100~300円、17時以降は+500円程度になっています。また一般的に、パート薬剤師の数の多い都市部よりも地方の方が求人に対する需要が高くなるため、時給が高い場合が多いでしょう。
薬剤師の平均時給や都道府県ごとの比較について詳しくは下記記事をご覧ください。
4.パート薬剤師として働く場合、扶養はどうなる?
働く人の中には「収入の面で扶養に入った方がいいの?」と悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。そもそも、扶養には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の考え方があり、収入別にいくつかの「壁」が存在しています。
- 税制上の扶養
配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができ、所得税や住民税を節税できます。 - 社会保険上の扶養
扶養に入ることで、被扶養者は健康保険料や年金保険料を支払わなくても健康保険に加入でき、年金を納めたことにできます。
ここでは、パート薬剤師として働く場合の「税制上の扶養」「社会保険上の扶養」に関わる、さまざまな「年収の壁」について注意点も含めてわかりやすく解説していきます。
4-1.年収103万円の壁
年収103万円の壁は、税制上の扶養に関連しており、年収103万円を超えると所得税がかかるようになります。パート薬剤師の場合、年収が103万円以下であれば、自分自身は所得税を支払う必要がなく、配偶者は配偶者控除を受けられ、年収が103万円を超えると、配偶者は配偶者控除を受けられなくなり、配偶者特別控除の対象となります。
4-2.年収106万円の壁
年収106万円の壁は、社会保険上の扶養が関係しています。勤務先の状況と勤務条件によって、年収106万円以上の場合は、社会保険に加入しなければならなくなり、パートナーの扶養から外れる可能性が出てきます。
社会保険加入は、2024年10月以降に適用範囲が拡大されます。
条件は以下に示すとおりです。
(1)労働時間が週20時間以上30時間未満
(2)月収が88,000円以上
(3) 雇用期間が継続して2か月以上見込まれること
(4)勤務先の従業員が51人以上
(2024年9月末まで「101人以上」)
(5)学生ではない
パート薬剤師は平均時給が高いため、週20時間の勤務でも、月収が88,000円以上になる可能性が高く、社会保険料が毎月の給与から天引きされるため手取り額が下がります。一見損しているように見えますが、保険料は会社が半分支払ってくれるうえに、傷病手当金や出産手当金などの医療給付の充実や、年金額の増額などのメリットもあります。手元に入ってくる金額ももちろん気になりますが、将来的な目線を持って収入の目安を立てるようにしましょう。
4-3.年収130万円の壁
年収130万円の壁は、社会保険上の扶養に関係しています。年収が130万円を超えると、誰でも社会保険に加入しなければならなくなります。個人経営の調剤薬局など、従業員数の少ない職場でも、130万円を超えると社会保険に加入する必要が出てきます。
パート薬剤師は、週4日、1日6時間勤務という働き方が多くみられるため、時給2,200円でシミュレーションをしてみると、
2,200円×6時間×4日間×4週=211,200円/月
と計算され、年収は約253万円となり、多くのパート薬剤師がこの130万円の壁を超えて働いていることが予想できます。
逆に、時給2,200円の場合、週に何時間までであれば、年収130万円以下に抑えられるのでしょうか。シミュレーションをしてみると、
1300,000÷12か月÷4週÷2,200円=12.3時間
となり、週12時間以下に勤務時間を抑えると良いことが分かります。週3日、1日4時間勤務が目安となるでしょう。
4-4.年収150万円の壁
年収150万円の壁は、税制上の扶養と関係しています。年収103万円を超えると配偶者は配偶者控除の対象ではなくなり、配偶者特別控除が受けられるようになります。
しかし実際のところ、年収103万円以下の配偶者控除額と、年収103万円超150万円以下の配偶者特別控除額は同じです。つまり、年収150万円以下では最大限の配偶者(特別)控除が受けられます。150万円超になってはじめて控除額が段階的に減っていき、年収201.6万円未満までは配偶者特別控除が受けられるという仕組みになっているのです。
年収150万円を超えると、配偶者の控除額が減り税金が高くなりますが、自分の手取り額が増える方が大きいため、世帯年収としてはプラスになります。薬剤師がパートとして働くならば、時給の高さを生かして年収150万円以上を目指すのもよいでしょう。
5.パート薬剤師として働くメリット
パート薬剤師として働くメリットには、どんなものがあるのでしょうか。正社員として仕事を続けるのは難しくても、パート薬剤師として仕事を続ければ、ブランクを作ることなくキャリアの維持が可能です。パート薬剤師のメリットについて解説していきます。
5-1.自分の都合に合わせた働き方ができる
パート薬剤師の場合、時間の制約が少ないため、自分の都合に合わせた曜日や時間帯に勤務できます。「子どもの帰宅時間に合わせて働きたいので16時までに勤務を終えたい」「親の介護があるため火曜日と木曜日は働けない」など、子育てや介護中には、フルタイムで働くことが難しい方も多いでしょう。さまざまな世代でライフステージに合わせた働き方ができるのも、パート薬剤師のメリットです。
また、薬剤師として働きながら、興味のある分野の勉強をはじめてみようと思ったり、大学院に通って博士号を取得しようと考えたりする方もいると思います。フルタイムで働きながらでも可能ですが、パートの方が、より勉強にかけられる時間が増えるでしょう。
このように、パート薬剤師としての働き方は、仕事とプライベートを両立しやすく、ワークライフバランスがとりやすい働き方と言えます。
5-2.求人を見つけやすい
パート薬剤師は、求人数が多く、職場未経験でも働きやすいという特徴があります。薬剤師としての職業柄、自分の希望に沿ったパートの求人を見つけやすいのも、メリットの1つです。
薬剤師という仕事には、勤務形態に関わらず、薬に関する専門家であるという共通点があります。正社員でもパートでも薬の知識を生かして働くため、資格があることを前提にして未経験業務への挑戦が可能です。国家資格取得者である薬剤師ならではのメリットなので、未経験の職場でも気兼ねせず、たくさんの経験を積んで、自分に合った職場を探すのも良いでしょう。
5-3.異動や転勤がない
パート薬剤師は、基本的には異動や転勤がありません。慣れた職場環境で勤務が続けられるだけでなく、面倒な引っ越しや手続きが不要になり、生活環境も変えずに済みます。環境の変化によるストレスを受けにくくなり、結果的に仕事のパフォーマンスの向上につながるでしょう。
5-4.ダブルワークが可能
パート薬剤師として働く他のメリットとして、ダブルワークがしやすいという点があります。
「今の病院は、職場環境がいいので辞めたくはないけど、違う診療科の病院でも働いてみたい」「調剤薬局で服薬指導をするのが自分には向いていると思っているけど、ドラッグストアで市販薬の販売も経験してみたい」など、薬剤師としてのダブルワークを希望する方もいるでしょう。また「薬剤師だけでなくカフェの仕事もしてみたい」など、薬剤師以外の仕事に興味がある方もいます。
パート薬剤師としての働き方は、キャリアプランを模索中であったり、自分の可能性を広げたいと考えたりする方にとっては、仕事の掛け持ちがしやすく、なおかつ生活していく上で効率よく収入が得られるため、魅力的な働き方です。
ただし、どの職場でも必ずしもダブルワークができるというわけではありませんので、ダブルワークをOKとしている職場かどうか確認をしておきましょう。
6.パート薬剤師として働くデメリット
パート薬剤師としての働き方には、メリットばかりではありません。「時間の制約のために、所定労働時間で働く正社員としての勤務ができない」という方にとっては、さまざまな葛藤があります。
ここではパート薬剤師として働くデメリットについても、解説していきます。
6-1.収入が安定しない
パート薬剤師は、基本的には時給制のため、勤務時間分の給与をもらうことになります。年末年始やゴールデンウィークなどで職場の休日が増えたり、子どもの体調不良で看病のため臨時休暇をとったりすると、勤務時間が少なくなり収入が減少してしまいます。毎月同じ月給制ではないため、収入が安定しないという点がデメリットです。
6-2.対象とならない福利厚生や手当がある
正社員のみが対象となる福利厚生や手当があるというのも実情です。住宅手当や通勤手当など企業が独自に設けている福利厚生で、正社員やその家族のみを対象とすることが多いようです。
ただし、厚生労働省によって、同一企業・団体における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消を目指すために「同一労働同一賃金」のガイドラインが作成され、2021年4月1日より全面施行となりました。
パート薬剤師も職場によっては、福利厚生が充実し各種手当の対象となる可能性もあります。求人を探す時点で、その点もしっかりリサーチするとよいでしょう。
参照元:厚生労働省/同一労働同一賃金特集ページ
6-3.長期雇用がされにくい
パートは基本的には有期雇用のため、雇用期間が設けられています。パート薬剤師も同様で、産休育休中の職員の補充のために臨時で採用された場合などは、雇用期間が決められており、短期間で終了することがあります。
職場側の都合で人員削除をおこなわざるを得ないときにも、正社員よりもパートが辞めることになりやすく、長期雇用がされにくいといった点もデメリットです。
6-4.仕事を幅広く任せてもらうことは難しい
パートの場合、勤務時間が短く勤務日数が少ない場合が多いため、仕事を幅広く任せてもらうことが難しい傾向にあります。
特に正社員と比べると仕事の範囲、任される仕事が限定され、もっと責任の重い仕事をしたいと思う方にとっては、仕事内容に満足できず納得いかないと感じることもあるでしょう。
7.まとめ
パート薬剤師は正社員に比べて、勤務時間の選択肢が広く、一般的なパートよりも時給が高いため短時間で効率よく収入を得られるというメリットがあります。職場での待遇や収入面でのデメリットはありますが、パート薬剤師は、育児や介護と両立させながら、キャリアを継続できるためワークライフバランスがとれた働き方と言えるでしょう。自分のライフプランと照らし合わせ、薬剤師のパートとしての働き方を検討してみませんか。
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