薬剤師の生涯年収はいくら?他職種と比べて低い?データをもとに解説


薬剤師は専門職として安定した収入が期待される一方で、「思ったより稼げない」と感じる人もいるかもしれません。実際に、薬剤師の生涯年収は一般労働者と大きな差がないという統計データもあります。

本記事では、薬局薬剤師と病院薬剤師、一般労働者の生涯年収、薬剤師の平均年収について解説するとともに、薬剤師の生涯年収が低いといわれる理由と年収アップのポイントをお伝えします。

1. 薬剤師の生涯年収は平均いくら?

薬剤師の生涯年収は、職種によって異なります。ここでは、薬局薬剤師・病院薬剤師の生涯年収と薬剤師の平均年収についてお伝えします。

1-1.薬局薬剤師の生涯年収

厚生労働省の資料「薬剤師の偏在への対応策」によると、65歳まで働くことを想定した場合、正社員(常勤)の薬局薬剤師の生涯年収は2億2,768万円、パート・アルバイト(非常勤)の薬局薬剤師の生涯年収は9,500万円とされています。

区分 正社員薬剤師 パート・アルバイト薬剤師
薬局全体 2億2,768万円 9,500万円
薬局のみ 2億2,433万円 8,700万円
店舗販売業と併設 2億2,350万円 1億1,255万円

上記の結果から、薬局薬剤師の生涯年収は勤務形態や業態により大きく差があることが分かります。正社員では「薬局のみ」よりも「店舗販売業と併設」の方が若干低い結果となっていますが、パート・アルバイトでは「店舗販売業との併設」の方が高くなっています。

また、正社員とパート・アルバイトの差は1億円以上あり、働き方の選択が生涯収入に大きく影響するといえるでしょう。

1-2.病院薬剤師の生涯年収

同じく厚生労働省の資料「薬剤師の偏在への対応策」によると、65歳まで働くことを想定した場合、正社員(常勤)の病院薬剤師の生涯年収は2億3,280万円、パート・アルバイト(非常勤)の薬局薬剤師の生涯年収は9,550万円とされています。

病院薬剤師の生涯年収についても、正社員とパート・アルバイトの差が1億円以上あり、勤務時間や福利厚生、昇給制度の違いが大きく影響していると考えられます。

正社員は夜勤があったり、通常業務に加えて感染症対策や安全対策などの委員会業務を行ったりすることで、昇給やボーナスアップなどが見込まれやすいでしょう。

一方、パート・アルバイトは時間の融通が利く働き方であり、一般的には通常業務が中心となることが多いため、長期的に見ると収入面に差が出やすくなります。

1-3.薬剤師の平均年収はいくら?

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は約599万円で、月収は約43万円、賞与は年間約82万円です。男性は平均約651万円、女性は約556万円であり、生活設計を立てやすい水準といえます。

区分 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
全体 43万800円 82万3,600円 599万3,200円
男性 47万2,500円 84万1,200円 651万1,200円
女性 39万5,800円 80万8,800円 555万8,400円

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|政府統計の総合窓口 e-Stat

国税庁「令和6年給与実態統計調査」によれば、給与所得者全体の平均年収は約478万円とされており、薬剤師の平均年収はこれを大きく上回っています。参照元のデータは異なるものの、薬剤師は一般的には年収が高い職種と考えられるでしょう。

2. 薬剤師の生涯年収は高い?低い?

労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計労働統計加工指標集2024」によると、2023年における「大学卒業後ただちに就職し、60歳で退職するまでフルタイムの正社員を続ける場合」の生涯年収(退職金を含めない)は、男性が2億5,150万円、女性が2億 190万円とされています。

雇用形態 男性労働者 女性労働者
正社員 2億5,150万円 2億190万円
パート・アルバイト 1億4,750万円 1億2,050万円

※大学卒業後ただちに就職し、60歳で退職するまでフルタイムで働く場合

前述した薬剤師の生涯年収のデータとは参照元や算出にあたっての条件が異なるため、あくまで参考ではありますが、このデータからは薬剤師は専門職であるものの、生涯年収は一般的な労働者と大きな差がないことがうかがえます。

3. 薬剤師の生涯年収が低いとされる理由

前述の調査結果からは、薬剤師の生涯年収は一般労働者と比較して有意に高いとはいえないことが分かります。ここでは、薬剤師の生涯年収が低い場合がある理由について考えてみましょう。

3-1.一般企業と比較して昇進できるポストが限られやすい

薬剤師の職場では、一般企業と比べて役職や管理職への昇進ルートが豊富とはいえません。特に薬局や病院では、一定の経験年数を経ても「主任」「管理薬剤師」など限られたポストしかなく、昇進による給与アップの幅が小さくなりやすい傾向があります。

一方、一般企業では「主任」「係長」「課長」「部長」などの役職があり、企業規模が大きいほど役職に就く人の数も増える分、昇給する機会も多いといえるでしょう。

また、病院や薬局の薬剤師は専門職としてのスキルが重視され、昇進による収入増が限定的になるケースもあります。結果として、生涯年収が一般企業の管理職層と比べて低くなる要因となっていることが考えられます。

3-2.職場によって給与相場に差がある

薬剤師の給与水準は、勤務先の業種や地域によっても異なります。一般的に都市部は求人が多く競争も激しいため、平均年収は全国的に見てもそれほど高くない傾向があります。

一方、地方では薬剤師不足が深刻な地域もあり、採用条件として高年収や住宅手当などの好待遇が提示されることがあります。

業種別では、特に20~30代の若年層において、病院薬剤師よりもドラッグストア勤務の方が年収が高くなる傾向があり、企業勤務や管理職ではさらに高い年収を得られる場合もあります。同じ資格でも、勤務地や業態によって年収に数百万円の差が生じることがあり、職場によって生涯年収が異なるでしょう。

4. 薬剤師が年収を上げるためのポイント

薬剤師として働く中で、「思ったより年収が伸びない」と感じることもあるかもしれません。薬剤師が年収を上げて生涯年収アップを目指すなら、働き方やキャリアの選択によって収入を伸ばすことが大切です。ここでは、薬剤師が年収を上げるためのポイントについてお伝えします。

4-1.管理薬剤師などのマネジメント職を目指す

薬剤師として年収を上げるには、管理薬剤師やエリアマネジャーなどのマネジメント職を目指す方法があります。管理薬剤師は店舗運営やスタッフ管理などの責任を担うため、基本給に加えて役職手当が支給されるケースが多く、年収アップにつながります。

複数店舗を統括するポジションであれば、さらに高収入が期待できるでしょう。企業によっては年収600〜700万円以上の提示もあります。現場経験を積みながら、マネジメント力を磨くことで収入面でもキャリアの幅が広がります。

4-2.資格を取得して専門性を高める

薬剤師は国家資格だけでなく、認定薬剤師や専門薬剤師などの追加資格を取得することで専門性を高め、年収アップにつなげることができます。

例えば、がん専門薬剤師や感染制御認定薬剤師などは医療機関での評価が高く、専門職手当や昇進のチャンスにもつながるでしょう。

また、在宅医療や地域連携に強い薬剤師は、ニーズの高まりとともに高待遇で採用される可能性があります。継続的な学習と資格取得は、収入だけでなく職場での信頼にも直結します。

4-3.パート・アルバイトの場合は正社員として働くことを検討する

パートやアルバイトとして働く薬剤師は、勤務時間の自由度が高い反面、年収面では正社員と大きな差があります。

前述のデータでも、パート・アルバイト薬剤師の生涯年収は正社員の半分以下とされており、長期的な収入アップを考えるなら正社員として働くことを検討するとよいでしょう。正社員になることで賞与や昇給制度、福利厚生の対象となれば、安定した収入が見込まれやすくなります。

また、ライフステージに応じて働き方を見直すことで、年収だけでなく将来の資産形成にも好影響を与えることができます。

4-4.給与水準が高い職場に転職する

先述のとおり、薬剤師の年収相場は職場によって大きく異なるため、給与水準の高い職場への転職は生涯年収を上げる有効な方法となります。

例えば、大手ドラッグストアや製薬企業では、会社の業績に応じて賞与額が決まったり、役職手当が充実していたりするため、病院や調剤薬局よりも高年収が提示されることがあります。

また、地方の人材不足地域では都市部よりも高待遇で薬剤師が募集されるケースもあり、転居を伴う転職が収入アップにつながることもあります。求人情報を定期的にチェックし、条件交渉を含めた戦略的な転職活動を行うことが重要です。

5. 薬剤師として将来を見据えたキャリア設計をしよう

薬剤師の生涯年収は、雇用形態、勤務先の業態、地域などによって幅があり、昇進ポストや資格取得の有無も影響します。

そのため、高収入のイメージにとらわれず、実態を踏まえたキャリア設計が重要です。安定性と収入のバランスを見極めて就職先を検討することが、薬剤師としての仕事の満足度につながるでしょう。

この記事の著者

薬剤師ライター

秋谷 侭美

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。

薬剤師の転職の準備に関するその他の記事

薬剤師の転職の準備に関する記事一覧

※在庫状況により、キャンペーンは予告なく変更・終了する場合がございます。ご了承ください。
※本ウェブサイトからご登録いただき、ご来社またはお電話にてキャリアアドバイザーと面談をさせていただいた方に限ります。

「マイナビ薬剤師」は厚生労働大臣認可の転職支援サービス。完全無料にてご利用いただけます。
厚生労働大臣許可番号 紹介13 - ユ - 080554