個人インタビュー

田辺薬品の入社理由を教えてください。

私が入社した2021年は、薬局のあり方として「対物から対人へ」ということが盛んに言われはじめた頃でした。とくに在宅医療は機械ではできず、薬局の外に出て活躍するのは「人」でしかありません。田辺薬品も将来を見すえて本格的に在宅に取り組もうとしていた時期で、社長の在宅に懸ける想いと熱意に共感したのが決め手です。私は前の勤務先の調剤薬局チェーンで在宅を立ち上げ、成功させた経験があるので、それを活かして少しでも貢献できればと思いました。

貴社の在宅医療をどのように展開してこられたのですか。

当初はこの地域では後発だったので、既存の在宅専門医等にアプローチしてもメインになるのは難しいと考え、地域包括支援センターのケアマネジャーをはじめ広く人脈づくりに努めました。地域包括との関係では次第に健康講演などの依頼も増えていき、いろんな情報が入るようになりました。新しくクリニックが開院する情報をキャッチするとオープン前にあいさつに行き、当社の在宅への想いを熱弁したものです。そうするうちに既存の医師ともつながりができ、信頼関係を築いていきました。気がつけば「田辺薬品さんに（患者さんを）お任せしたい」と一番に声がかかるようになり、がん末期のお年寄りから小児まで在宅の応需先がどんどん広がっていったのです。立ち上げ当初の患者さんは73名程でしたが、今では田辺薬品全体で350名以上（2023年9月現在）の患者さんを担当させていただくまでになりました。現在でも月40件前後の新規依頼があり、右肩上がりに増え続けています。今後も在宅医療を必要とする患者さんへより多くの医療が届けられるよう、業務効率化や人材育成にもっと力を入れていき、在宅規模の拡大を目指していきたいと思っています。

貴社が掲げている「よりそう在宅医療」とはどのようなものですか。

患者さんとそのご家族は、生活スタイルから人生観までそれぞれに違うので、一つひとつ創造力を働かせて真摯に向き合うことです。たとえば、医療依存度の高い患者さんは、社会との接点が私たちだけというケースも多いので、会話ができなくても訪問するたび名前を呼んでさまざまな話をしたり、ご家族の「こうしてあげたい」といった相談に乗ったり。だから基本的に統一したマニュアルはありません。しかし一方で、寄り添うマインドやそのためのヒューマンスキルが「人による」ものでは限界があるので、属人化しないよう「よりそう仕組み化」に取り組んでいます。そこで始めたのが、「他スタッフとの在宅同行訪問」です。薬剤師・薬局パートナー・管理栄養士・本部など、職種に関係なく異なる視点から「在宅医療」を肌に触れて感じてもらい、それを在宅レポートに書き起こしてもらっています。現在は、それらのレポートを踏まえて、こんな患者さんにはこういう言葉使いや態度で、こんなケースには何に注意すべきか、といったことを形にし、仕組み化する「よりそう在宅ワークショップ」を開いています。みんなで考えて、ある程度カタチができたら、研修制度として組み込み、在宅薬剤師育成に役立てていく予定です。

誰でも内田さんのような質の高い在宅ができるということですね。

私に限らず、「ぜひまた来てほしい」と言われるような好事例はどんどん共有しています。最近ではチームの後輩にも指名が来るようになり頼もしいです。「よりそう仕組み化」の最も良い点は、誰もが患者さんとそのご家族に満足度の高いサービスが提供できるので、担当者制をとる必要がないこと。事実、私たちはいまチームで動いています。他者の目が入ると患者さん一人ひとりについて効果的なディスカッションもできるし、オンコールにもメンバー全員が対応できるし、柔軟に訪問予定が組めるなど良いこと尽くめです。在宅の質は絶対に落としたくありませんし、また質が下がらなければ応需数も自然に増えていくもの。今後は在宅応需店舗を増やしていきます。また新人の方は在宅経験の有無にかかわらず、上位者がマンツーマンで研修するので安心してください。患者さんに「よりそう想い」さえあれば、どなたでもいきいきと活躍できます！