創薬・臨床試験

9月27日付承認新薬‐国内初のMCC適応薬剤

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省は9月末に承認した新医薬品を発表しました。

開発競争が激化している多発性骨髄腫治療薬で、抗CD38抗体「ダラザレックス点滴静注」と抗体医薬が使えるようになりました。

メルケル細胞癌(MCC)を適応とした抗PD-L1抗体「バベンチオ点滴静注」や、再発乳癌を適応とするサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤「イブランスカプセル」など癌領域で国内初の適応・新規作用機序の薬剤も承認されました。

多発性骨髄腫で抗CD38抗体

 

厚生労働省が9月27日に承認した新医薬品では、メルケル細胞癌(MCC)を適応とした抗PD-L1抗体「バベンチオ点滴静注」や、再発乳癌を適応とするサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤「イブランスカプセル」など癌領域で国内初の適応・新規作用機序の薬剤が登場した。各社が開発にしのぎを削る多発性骨髄腫治療薬でも、抗CD38抗体「ダラザレックス点滴静注」と抗体医薬が使えるようになった。

 

バベンチオ点滴静注‐メルクセローノ

 

「バベンチオ点滴静注200mg」(一般名:アベルマブ)は、プログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)を特異的に阻害する免疫チェックポイント阻害剤で、国内初の適応症となる根治切除不能なMCCの効能・効果で承認を取得した。腫瘍細胞がT細胞などの白血球から身を守るために利用するPD-L1に結合することで、免疫に対する逃避機構を遮断し、抗腫瘍効果を引き起こす。MCCは、神経終末部近くの皮膚最表層に生じる癌細胞に由来する進行性の希少癌。

 

イブランスカプセル‐ファイザー

 

「イブランスカプセル25mg・同125mg」(一般名:パルボシクリブ)は、手術不能または再発乳癌を効能・効果とし、細胞周期の調節に主要な役割を果たし、細胞増殖を引き起こすCDK4/6を阻害する分子標的薬。

米国など世界70カ国以上で承認済み。

 

ダラザレックス点滴静注‐ヤンセンファーマ

 

「ダラザレックス点滴静注400mg」(一般名:ダラツムマブ)は、再発・難治性の多発性骨髄腫を効能・効果とする抗CD38抗体。多発性骨髄腫を含む造血器腫瘍の腫瘍細胞表面に発現するCD38抗原に結合することで、補体依存性細胞傷害(CDC)作用、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用、抗体依存性細胞貪食(ADCP)作用を介して抗腫瘍効果を示す。レナリドミドとデキサメタゾン、またはボルテゾミブとデキサメタゾンとの組み合わせによる3剤併用で用いる。

 

ベンリスタ点滴静注用・同皮下注‐GSK

 

「ベンリスタ点滴静注用120mg、同400mg、同皮下注200mgオートインジェクター、同200mgシリンジ」(一般名:ベリムマブ)は、自己免疫疾患の全身性エリテマトーデス(SLE)の重要な因子であるBリンパ球刺激因子(BLyS)に特異的に結合し、自己反応性B細胞の生存を阻害することでB細胞の免疫グロブリン産生形質細胞への分化を抑制し、SLEの疾患活動性を低下させる。

 

既存治療で効果不十分なSLEを効能・効果とする。米国など世界70カ国以上で承認済み。

 

エイフスチラ静注用‐CSLベーリング

 

「エイフスチラ静注用250、同500、同1000、同1500、同2000、同2500、同3000」(一般名:ロノクトコグアルファ)は、国内初のシングルチェーン(単鎖)構造を持つ遺伝子組み換え血液凝固第VIII因子製剤。

 

独自のシングルチェーン構造により、血液凝固第VIII因子の分子安定性を高め、週2~3回の投与で出血予防効果を示す半減期延長型血友病A治療薬となっている。出血リスクを下げる定期補充療法、出血時のオンデマンド療法、手術前後の出血管理に用いる。

 

レクタブル注腸フォーム‐EAファーマ

 

「レクタブル2mg注腸フォーム14回」(一般名:ブデソニド)は、重症を除く潰瘍性大腸炎を適応とした局所作用型ステロイド薬で、全身性の副作用を低減する。国内初の泡状の注腸フォーム製剤であり、泡状であることから直腸・S状結腸に到達した薬剤が局所にとどまり、投与後に薬剤が漏れにくいという特徴を持つ。

 

シダキュアスギ花粉舌下錠‐鳥居薬品

 

「シダキュアスギ花粉舌下錠2000JAU、同5000JAU」は、スギ花粉症に対するアレルギー免疫療法薬。成人・小児などで使用可能となった国内初の舌下錠となっている。既にスギ花粉に対する舌下液「シダトレン花粉舌下液」を販売しているが、シダトレンよりも高力価であり、室温保存が可能で服薬しやすいなど利便性を高めている。

 

ルパフィン錠‐帝國製薬

 

「ルパフィン錠10mg」(一般名:ルパタジンフマル酸塩)は、抗ヒスタミン作用と抗血小板活性化因子(PAF)作用を併せ持つアレルギー性疾患治療薬で、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎・皮膚掻痒症に伴う掻痒症を効能・効果とする。

 

PAFも血管拡張や血管透析性の亢進、知覚神経刺激、白血球の活性化などを誘導することで、くしゃみや鼻水を引き起こすなど、アレルギー性疾患の病態に深く関与している。同剤は、ヒスタミンとPAFの二つの化学伝達物質を抑えることで、より強力な効果を発揮する。

 

ビザミル静注‐日本メジフィジックス

 

「ビザミル静注」(一般名:フルテメタモル)は、アルツハイマー病の特徴的な病理所見となるアミロイドベータプラークを可視化するアミロイドPET検査用イメージング剤。脳内にアミロイドプラークを有するかどうかを確認し、認知症の原因疾患がアルツハイマー病であるかどうかを判断するための一助として利用される。既に海外ではGEヘルスケアが米国・EU・スイス・韓国などで承認を取得している。

 

ジーンプラバ点滴静注‐MSD

 

「ジーンプラバ点滴静注625mg」(一般名:ベズロトクスマブ)は、クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)の再発抑制を適応とする抗菌薬。CDIは致死的な重症に至る感染症でありながら、海外の報告によると約25%が再発し、そのうち45~65%は2回目以降の再発を繰り返すといわれている。クロストリジウム・ディフィシルより産生されるトキシンBに高親和性に結合し、トキシンBを中和する抗体のジーンプラバの投与により、腸管壁の傷害を抑え、抗菌薬と合わせて単回投与することでCDIの再発を抑制する。

 

ケブザラ皮下注、同オートインジェクター‐サノフィ

 

「ケブザラ皮下注150mgシリンジ、同200mgシリンジ、同150mgオートインジェクター、同200mgオートインジェクター」(一般名:サリルマブ)は、既存治療で効果不十分な関節リウマチを効能・効果とする抗IL-6抗体。用法・用量は、1回200mgを2週間隔で皮下投与する。

 

アトーゼット配合錠‐MSD

 

「アトーゼット配合錠LD、同HD」(一般名:エゼチミブ/アトルバスタチンカルシウム水和物)は、小腸コレステロールトランスポーター阻害剤とHMG-GoA還元酵素阻害剤の配合剤で、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症(FH)を効能・効果とする。

 

LDは、1錠中にエゼチミブ10mg/アトルバスタチン10mgを含有し、HDは、エゼチミブ10mg/アトルバスタチン20mgを含有する。

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出典:薬事日報

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