医療

抗癌剤の分割使用、2回まで‐安全基準まとめる

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省が、抗癌剤を分割使用するときの安全基準をまとめました。
バイアルを使用する場合、2回までです(例外条件を除く)。残りの抗がん剤を使える期間は原則その当日だけですが、リスク低減策を行い、無菌環境で保存した場合は最初の針をさした後7日までつかえるとのことです。

無菌設備、CSTDを推奨

厚生労働省は、抗癌剤を分割使用する場合の安全基準「注射用抗癌剤等の安全な複数回使用に関する手引き」をまとめた。抗癌剤の調製は、無菌室に設置された安全キャビネットとCSTD(閉鎖式薬物移送システム)の使用が望ましいと推奨。同じバイアル製剤の複数回使用は安全性の観点から「2回まで」と明記した。保管期間は原則当日内とし、バイアルの取り違え等のリスク低減策を行い、無菌環境で保管した場合は最初の針刺し後7日間まで使えるとした。厚労省が安全基準を示したことで、抗癌剤の分割使用に関する検討が広がりそうだ。


11日の厚生科学審議会部会で公表した。注射用抗癌剤について、一つのバイアルを2人以上の患者に分割使用する取り組みが広がる中、厚労省は研究班を立ち上げ、安全に複数回使用できるガイドラインの検討を行ってきた。研究班が全国291施設に調査したところ、抗癌剤の分割使用を実施している施設は27%と約3割に上っていた。

 

今回、厚労省が公表した手引きでは、注射用抗癌剤等の複数回使用を「通常の単回使用注射薬を同時に、または一定期間後に患者に使用すること」と定義。複数回に分けて使用する抗癌剤等は、初回の針刺し後に安定なバイアル製剤とし、対象となる薬の種類、範囲を各施設で事前に決めておくよう求めた。

 

安全な調製環境としては、クリーンルームの清浄度を示すISOクラス5の無菌室に設置された安全キャビネットの使用が望ましいと推奨。ただ、それよりも清浄度クラスが低いISOクラス8の一般注射製剤室に設置された安全キャビネットを使用することでもよいとした。

 

調製方法については、抗癌剤曝露の危険性回避と手技経験の技術差によるリスク軽減の観点から、CSTDの使用が望ましいと推奨した。同じバイアル製剤の複数回使用の回数は、3回以上の分割使用を行うと漏出量が増大する可能性があり、「2回まで」と明記。ただ、針刺しできる回数が明示されているCSTDを使う場合は、各企業が示す回数内で行ってもよいとしている。CSTDを使用しないで通常のシリンジと針で複数回の調製を行う場合は、調製ごとにシリンジと針を交換する。

 

また、バイアルの保管に当たっては、ゴム栓かCSTD接続部を消毒し、滅菌シールで保護した上で、ジップ付きプラスチック袋などに入れて密封することを推奨したほか、無菌室内の当日を超える保管は取り違えの恐れがあるため推奨されないとした。

 

そのため、注射用抗癌剤等の保管期間は、最初に針刺しした当日内の使用を推奨する一方、ISOクラス8相当の一般注射製剤室内で保管した場合は2日間、ISOクラス5相当の無菌室内で保管した場合は7日間まで保管できるとした。

 

バイアル製剤を分割使用することにより、患者ごとの調製、監査の手順違いから従来の手順では発生し得なかった医薬品の取り違え事故や調製用量の過誤、バイアルを雑然と無菌室内に配置させておくことによる取り違え、CSTD使用時のバイアルの視認性低下による取り違え、使用期限を超過した使用などのリスクが想定されると指摘。

 

これらリスクを低減するため、各施設の状況に応じて調製手順書の作成を求めている。手順書に沿って、確認票を用いた調整後の監査、安全な針刺し後のバイアル保管方法、調製記録の保管などを実施するよう求めている。

 

11日の厚生科学審議会部会で公表した。注射用抗癌剤について、一つのバイアルを2人以上の患者に分割使用する取り組みが広がる中、厚労省は研究班を立ち上げ、安全に複数回使用できるガイドラインの検討を行ってきた。研究班が全国291施設に調査したところ、抗癌剤の分割使用を実施している施設は27%と約3割に上っていた。

 

今回、厚労省が公表した手引きでは、注射用抗癌剤等の複数回使用を「通常の単回使用注射薬を同時に、または一定期間後に患者に使用すること」と定義。複数回に分けて使用する抗癌剤等は、初回の針刺し後に安定なバイアル製剤とし、対象となる薬の種類、範囲を各施設で事前に決めておくよう求めた。

 

安全な調製環境としては、クリーンルームの清浄度を示すISOクラス5の無菌室に設置された安全キャビネットの使用が望ましいと推奨。ただ、それよりも清浄度クラスが低いISOクラス8の一般注射製剤室に設置された安全キャビネットを使用することでもよいとした。

 

調製方法については、抗癌剤曝露の危険性回避と手技経験の技術差によるリスク軽減の観点から、CSTDの使用が望ましいと推奨した。同じバイアル製剤の複数回使用の回数は、3回以上の分割使用を行うと漏出量が増大する可能性があり、「2回まで」と明記。ただ、針刺しできる回数が明示されているCSTDを使う場合は、各企業が示す回数内で行ってもよいとしている。CSTDを使用しないで通常のシリンジと針で複数回の調製を行う場合は、調製ごとにシリンジと針を交換する。

 

また、バイアルの保管に当たっては、ゴム栓かCSTD接続部を消毒し、滅菌シールで保護した上で、ジップ付きプラスチック袋などに入れて密封することを推奨したほか、無菌室内の当日を超える保管は取り違えの恐れがあるため推奨されないとした。

 

そのため、注射用抗癌剤等の保管期間は、最初に針刺しした当日内の使用を推奨する一方、ISOクラス8相当の一般注射製剤室内で保管した場合は2日間、ISOクラス5相当の無菌室内で保管した場合は7日間まで保管できるとした。

 

バイアル製剤を分割使用することにより、患者ごとの調製、監査の手順違いから従来の手順では発生し得なかった医薬品の取り違え事故や調製用量の過誤、バイアルを雑然と無菌室内に配置させておくことによる取り違え、CSTD使用時のバイアルの視認性低下による取り違え、使用期限を超過した使用などのリスクが想定されると指摘。

 

これらリスクを低減するため、各施設の状況に応じて調製手順書の作成を求めている。手順書に沿って、確認票を用いた調整後の監査、安全な針刺し後のバイアル保管方法、調製記録の保管などを実施するよう求めている。

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出典:薬事日報

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