薬剤師の接遇マナー・テクニック 更新日:2023.02.28公開日:2014.06.25 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー

話好きの患者さんへの接し方
話好きの患者さんへの接し方

待合室が混んでいても、長々とお話をされるおばあさんがいます。調剤薬局は「地域密着」「患者さん重視」が基本ですし、ゆっくり話を聞いていたいのですが、順番待ちの患者さんは明らかにイライラしています。このような場合、どう対応するとよいでしょうか?

Answer
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話をしてくれる患者さんはありがたい存在

高齢の患者さんなどでよくあるケースですね。この場合、大前提として心にとどめておいてほしいのは、こんな風に話してくださる患者さんは、薬局を信頼してくださり、薬局のファンでもあるありがたい存在なんだということ。いろいろと話してくれることに感謝しましょう。
とはいえ、このケースのように混んでいるときは、ほかの患者さんとの兼ね合いもありますので、じっくり話を聞くことが難しいですよね。そんなときは、「○○さん申し訳ありません。もっとお聞きしたいんですけど、今日はとても混んできたので……。また今度、聞かせてもらえますか?」とお願いしてみましょう。
このときのポイントは、「もっと聞きたいんです」という点をしっかり強調すること。そして、申し訳ないという気持ちをしっかり伝えるということです。心にもないことを演技して言うわけではありません。そんな表面的な演技は、患者さんにすぐ見抜かれてしまうものです。まずは本心から聞きたいと思う。そして、ゆっくり話ができない状況を残念だと思う。そうすれば、自然に申し訳ない表情や口調になるはずです。人間は言葉そのものよりも、口調や表情などの雰囲気で受け取り方が大きく左右されるそうです。言葉だけで謝るのではなく、「申し訳なく思う」ことで、「この人はちゃんと私の話を聞いてくれるんだ」と感じていただけます。

処方せんがなくても気軽に立ち寄れる薬局に

薬局が地域密着・患者さん重視をうたっているなら、さらに加えて「処方せんがなくても、お時間があればいつでも立ち寄ってくださいね」と言えたらベストでしょう。一般の方にとって、薬局は特殊な場所。「薬のことならお気軽にご相談ください」と言われても、中に入るのに気が引けるものです。でも薬剤師から、「処方せんを持っていなくても大丈夫ですよ」、「散歩の途中で、お茶でも飲みに来てくださいね」と言われれば、かなり身近な存在として感じられるはずです。その際、「○曜日の○時頃なら比較的空いていますので」などと具体的な情報を添えれば、よりウエルカムな気持ちが伝わりやすいと思います。
話好きな患者さんの場合、薬に関係のない話が延々と続くケースもありますが、上手く誘導すれば、体調や薬に関係する話題に持っていくこともできるはず。何気ない会話の中で、思いがけない情報を引き出せることもあります。また、病気や通院などで疲れがたまり、誰かに吐き出したいこともあるでしょう。薬を渡すだけではなく、患者さんの気持ちを受けとめ、癒せる存在になる。そんな気持ちで仕事をしてくれる薬剤師が一人でも増えてくれたら…… と心から思います。
「本当はもっと聞きたい!」という気持ちを言葉だけでなく表情や態度でも示しましょう。
「本当はもっと聞きたい!」という気持ちを言葉だけでなく表情や態度でも示しましょう。

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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