製薬会社で働く薬剤師の平均年収は?主な仕事内容や転職のポイントも解説

製薬会社で働く薬剤師の年収は、職種や企業規模によって大きく変わります。医薬品の開発や情報提供、安全性管理など多様な業務に携われるのが特徴で、医薬情報担当者(MR)・臨床開発モニター(CRA)・研究職など幅広いキャリアを選べる点も魅力です。
本記事では、薬剤師全体の平均年収や製薬会社で代表的な職種の年収についてお伝えするとともに、仕事内容の例や製薬会社で働くメリット・デメリット、転職のポイントを解説します。
目次
1. 製薬会社で働く薬剤師の平均年収
製薬会社で働く薬剤師の年収は、職種や企業規模によって大きく異なりますが、病院や薬局で働く薬剤師よりも高収入になる傾向にあります。ここでは、薬剤師全体の平均年収とMR・CRA・研究者の平均年収を紹介します。
1-1. 薬剤師全体の平均年収
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師全体の平均年収は約599万円です。ただし、薬剤師の年収は、後述する職種や勤務先の業態、年齢、役職などによって相場に差があります。
1-2. 医薬情報担当者(MR)の平均年収
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、MRの平均年収は約618万円とされ、薬剤師全体の平均より高めです。大手製薬会社では成果に応じて年収が大きく伸び、30代で1000万円に達するケースもあります。
ただし、この金額はMR全体を対象としており、薬剤師資格の有無は問われていません。そのため、薬剤師がMRとして働く場合の年収とは必ずしも一致しない点に留意しましょう。
参考:医薬情報担当者(MR)|厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)
1-3. 臨床開発モニター(CRA)の平均年収
同じく「job tag」によると、CRAの平均年収は約481万円とされていますが、経験を積むほど年収は上がり、5年以上で600〜1000万円に達する例もあります。治験の進行管理を担う職種のため、専門性の高い薬剤師は就職活動や昇給・昇進などで有利になりやすいでしょう。
CRAの年収についても、CRA全体を対象としており、薬剤師のみの年収ではないため、参考値として扱う必要があります。
参考:臨床開発モニター|厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)
1-4. 薬学研究者の平均年収
同じく「job tag」によれば、薬学研究者の平均年収は約750万円とされています。企業研究職は専門性が高く、大学院修了者が多いことから年収水準も高めです。
ただし、これも薬剤師資格の有無を問わず研究者全体を対象としているため、薬剤師が研究職に就いた場合の年収とは異なる可能性があります。また、年齢や企業規模、役職の有無によっても大きく変動するため、場合によっては薬剤師の平均年収より低くなるケースもあるでしょう。
参考:薬学研究者|厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)
2. 薬剤師の製薬会社における仕事内容の例
製薬会社で働く薬剤師は、病院や調剤薬局とは異なる専門性を発揮します。ここでは、代表的な職種であるMR・CRA・研究職・DIについて、薬剤師がどのように活躍するのかを解説します。
2-1. MR(医薬情報担当者)
MR(医薬情報担当者)は、自社医薬品に関する最新の情報を医師や薬剤師へ提供し、医療現場のニーズや副作用情報を収集する役割を担います。
薬剤師としての科学的知識が評価されやすく、医療従事者とのコミュニケーションを通じて医薬品の適正使用に貢献する仕事です。
参考:医薬情報担当者(MR)|厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)
2-2. CRA(臨床開発モニター)
CRA(臨床開発モニター)は、新薬の承認に必要な治験が適切に実施されているかを確認する専門職です。治験データの正確性や手順の順守をチェックし、医師やCRC(治験コーディネーター)と連携しながら治験を進めます。
臨床試験に関する法律の知識に加え、薬理作用や副作用に関する理解が求められるため、薬剤師の知識が特に生かされる領域です。
参考:臨床開発モニター|厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)
2-3. 研究職
研究職は、創薬研究や製剤研究など、医薬品の開発そのものに携わる仕事です。創薬研究では化合物の探索や薬理評価を行い、製剤研究では錠剤や注射剤などの剤形設計や安定性試験を担当します。
高度な専門性が必要とされるため、薬学部だけでなくさまざまな学部の大学院修了者が就く傾向にあるのが特徴です。
参考:薬学研究者|厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)
2-4. DI(医薬品情報担当)
DI(医薬品情報担当)は、医薬品に関する情報を収集・評価し、医療機関や社内に提供する役割を担います。
副作用や相互作用などの安全性情報を整理し、医療従事者からの問い合わせに対応するほか、添付文書やインタビューフォームの作成にも関わります。情報の正確性と整理力が求められるため、薬剤師の適性が高い職種といえます。
3. 薬剤師が製薬会社で働くメリット
薬剤師が製薬会社で働くメリットは、一般的な医療現場とは異なるキャリアを築ける点や、企業ならではの働きやすさを得られる点にあります。ここでは、薬剤師が製薬会社で働くメリットについて解説します。
3-1. 薬局や病院とは異なるキャリアを歩める
製薬会社では、MR・CRA・研究職・DIなど、薬剤師が専門知識を生かしながら多様なキャリアを選択できます。調剤や病棟業務とは異なり、医薬品の開発・情報提供・安全性管理などを支える立場として医療に関わることができるのが大きな特徴です。
臨床から離れて新しいスキルを身に付けたい人や、将来的にキャリアの幅を広げたい人にとって、製薬会社は魅力的な選択肢となります。
3-2. 大手企業では福利厚生が充実している傾向にある
大手製薬会社は、住宅手当や家族手当、企業年金、研修制度などの福利厚生が手厚く、長期的に働きやすい環境が整っている傾向にあります。
また、薬局や病院と比べて給与体系が明確で、昇給・賞与が安定しているところも少なくありません。産休・育休や有給休暇の積極的な取得を促す企業もあり、ライフイベントに合わせた働き方を実現しやすいでしょう。
3-3. 土日休みの職場が多くワークライフバランスを取りやすい
製薬会社の多くはカレンダー通りの働き方で、土日祝日が休日になり、年間休日数も多い傾向があります。夜勤やシフト勤務のない職種も多いため、生活リズムを整えやすく、プライベートの時間を確保しやすい点が魅力です。
家庭や趣味との両立を重視したい薬剤師にとって、ワークライフバランスを取りやすい働き方ができるのは大きなメリットといえます。
4. 薬剤師が製薬会社で働くデメリット
製薬会社で働く懸念点としては、転勤の可能性があることや調剤業務・患者対応といった臨床経験を積みにくいことが挙げられます。ここでは、薬剤師が製薬会社で働くデメリットについてお伝えします。
4-1. 職場によっては転勤の可能性がある
製薬会社で働く薬剤師は、職種や企業規模によっては転勤が発生する可能性があります。特にMRや一部の開発職は、担当エリアの変更や支店異動が避けられないこともあるでしょう。
全国展開している大手企業ほど異動の可能性が高くなりやすく、ライフスタイルに影響する点はデメリットになるかもしれません。家族の事情や居住地を変えたくない人は、転勤の有無や勤務地限定制度の有無を就職前に確認しておくことが重要です。
4-2. 調剤業務や患者対応の経験が積めない
製薬会社では、調剤や服薬指導といった業務を行う機会がほとんどありません。そのため、薬局や病院で求められる実務経験を積みにくく、将来的に臨床現場で働きたい薬剤師にはデメリットとなる可能性があります。
また、製薬会社では、臨床スキルよりも情報収集力やコミュニケーション能力、研究開発への興味が求められることが多いでしょう。患者さんと直接関わる仕事が好きな薬剤師にとって、やりがいの方向性が大きく変わる点はデメリットとなり得ます。
4-3. 希望職種の求人数が少ない可能性がある
製薬会社の求人募集は、企業の規模や製品領域によって募集タイミングが異なる場合があります。加えて、DIなどの薬剤師の専門性が生かせる部署は、薬剤師の応募が集中しやすくなります。
さらに、製薬会社は基本的に薬剤師の資格がなくても就職できるため、倍率が高まりやすく、内定をもらうのが難しい場合もあるでしょう。
5. 薬剤師が製薬会社に転職するには?
製薬会社への転職を成功させるには、業界動向を把握しつつ、自分の強みを整理して臨むことが大切です。ここでは、薬剤師が製薬会社に転職する際のポイントをお伝えします。
5-1. 十分な情報収集を行う
製薬会社への転職では、企業研究と職種理解が特に重要です。同じ製薬会社でも、新薬メーカー、ジェネリックメーカー、OTCメーカーでは求められる役割が大きく異なります。
また、研究開発職では専門性、DIではコミュニケーション力や語学力など、重視・評価されるポイントが異なるため、職種ごとの特徴を把握することが大切です。企業の将来性、働き方、福利厚生なども確認しておくと、入社後のミスマッチを防げるでしょう。
5-2. 入社後に必要なスキルを身に付けておく
製薬会社では、薬剤師としての基礎知識に加え、職種ごとに必要なスキルが求められます。例えば、研究職であれば実験技術や英語論文の読解力、品質管理ではGMP・GLPなどの品質基準の理解、薬事では法規制や申請書類作成スキルが必要です。
また、どの職種でも論理的思考力、データを正確に扱う力、コミュニケーション能力は共通して重視されます。入社前から関連資格の取得や専門書の学習、オンライン講座の受講などでスキルを補強しておくと、選考でのアピールにつながるだけでなく、入社後の成長スピードも高まります。
5-3. 転職エージェントを活用する
製薬会社への転職では、業界に詳しい転職エージェントを活用することで、効率的に情報収集ができ、非公開求人にもアクセスしやすくなります。企業ごとの選考傾向や求める人物像を把握しているため、ミスマッチを防ぎやすい点は転職エージェントを活用するメリットといえます。
また、在職中で時間が取りにくい場合でも、日程調整や条件交渉を代行・サポートしてくれるため、転職活動の負担を大幅に軽減できる点は魅力でしょう。
6. 薬剤師が製薬会社への転職を成功させるために
製薬会社で働く薬剤師は、専門知識を生かしながら多様なキャリアを築ける一方、転勤の可能性がある、臨床経験を積みにくいなどのデメリットもあります。また、年収は職種や企業規模によって差があり、希望職種の求人が少ないこともあるでしょう。そのため、製薬会社への転職を考えている場合は、事前の情報収集が重要です。自分の適性やキャリアプランを踏まえ、必要なスキルを磨きながら転職活動を進めることが転職成功のカギとなります。
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