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鉄剤使用時の副作用対策に かかりつけ薬剤師として選択肢を広げよう(後編)

かかりつけ薬剤師が覚えておきたい鉄剤による副作用への対処法

鉄剤の投薬を経験した薬剤師の多くが直面する副作用の問題。前編では、鉄剤の成分が吸収されにくい非ヘム鉄であることと、副作用が起こる理由を説明しました。後編では、鉄剤の副作用を訴える患者さんに対し、かかりつけ薬剤師としてよりよい選択肢を提案するための代替案について紹介します。

代替案を出せてこそ真の薬剤師

前編では、鉄剤の副作用が起こってしまった患者さんに関して、医師に服用中止の連絡を行うだけでは医師が望む治療の意図を汲み取った対応とはいえないとお伝えしました。副作用を訴える患者さんにとっては、鉄剤の服用を中止すればQOLの回復になります。しかし治療という側面から考えてみると、鉄剤の服用中止は患者さんの病態改善にはつながらないのです。
医師の治療方針をできるだけ継続させ、患者さんの真のQOL向上を目指すには、薬剤師として服用の中止に代わる提案を行いたいところです。代替案を提案できてこそ、「医師にも患者さんにも求められる薬剤師」となれるのではないでしょうか。

鉄剤の代替案となる食品とサプリメント

鉄剤は原則として経口投与が基本です。しかし、副作用のためにどうしても経口投与が難しい患者さんの場合は、注射薬への切り替えが行われることもあります。また、日常生活において積極的に鉄分を摂取する食事の提案を行えれば、回復は早まるはずです。
 
例えば、鉄分の含有量が多いとされる鶏レバーは、1食約80gで11mgの鉄分が摂取できます。日本の基準では、食事からとるべき鉄分の推奨量は成人男性で7.0~7.5mg/日、月経のある成人女性で10.5mg/日。推奨量が健康維持のために設定された摂取量であることを考えると、鶏レバーはかなり優秀な鉄分の摂取源であることがわかります。ほうれん草の鉄分含有量は、1/2カップ(100ml)で約3.2mg程度。前編で説明したとおり、植物性の非ヘム鉄の吸収率が2%~20%であるのに対して動物性のヘム鉄の吸収率は15~35%と高いことを考えても、鉄分は動物性食品である鶏レバーで摂取した方が効率的だといえるでしょう。高齢者は動物性食品を避ける傾向にあり、肉類を好まないことから貧血傾向が悪化するという悪循環に陥りがちです。貧血様の症状が気になる患者さんに対しては、日常生活で取り入れるべき食品のリストを用意しておき、服薬指導に活かすのもよいでしょう。
 
また、食事での対応が難しい患者さんにおすすめしたいのがヘム鉄のサプリメントです。鉄剤は非ヘム鉄のものしかありませんが、サプリメントであればヘム鉄のサプリメントも存在します。この場合は、医師と連携をとりながら代替をすすめましょう。

「吸収率が低いからビタミンCと併用!」は代替案になる?

鉄剤は副作用が起こりやすいことのほかに、もうひとつ大きな問題があります。それは、鉄分の吸収率の低さです。非ヘム鉄(3価鉄)である鉄剤では吸収率が低いことから、服薬の効果が十分に得られるまでに時間がかかり、服用の長期化による副作用の発現も考えられます。
そこで利用したいのが、ビタミンCやクエン酸などの栄養素です。ビタミンCやクエン酸は3価鉄を2価鉄へと変換させる働きを持っているため、鉄剤の吸収率を高められるのです。食品からの鉄分の摂取をすすめる際にも、植物性食品を好む患者さんにはビタミンCやクエン酸を併用する提案が必要かもしれません。
 
ただし、鉄剤のなかでも「フェロミア錠50mg」と「クエン酸第一鉄Na錠50mg」は製品自体がクエン酸との化合物です。すでに3価鉄を2価鉄へと変換させる働きを備えているため、さらにビタミンCと併用しても吸収率は上がらないというデータが得られています。

かかりつけ薬剤師として患者さんに寄り添った代替案を

鉄剤は、副作用のために患者さんが自己判断で服薬を中止するケースも見受けられますが、そのようなときこそ薬剤師の出番かもしれません。医師との連携を密にし、服薬を自己判断で中止した患者さんに提示できる代替案はどのようなものであるか考えたいところです。鉄剤の服用を続けているにも関わらず症状が改善しない患者さんへの提案も含め、それぞれのケースに適した代替案を検討し、患者さんや医師から頼られる薬剤師を目指しましょう。

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