薬剤師の働き方 薬剤師の働き方

辞めたい、辛い、転職したい薬剤師の不安に達人がアンサー Vol.1
薬剤師の年収は1000万円を超える?

薬剤師の業界は人材不足の一方で、今後は薬局が淘汰されていくことが予測されます。「働く場所がなくなる」「この先、転職先はどう選ぶべき?」「年収が上がらない…」。そんな今の時代に薬剤師が抱える不安に、『薬剤師の新・幸福論』の著者であり薬剤師として多彩なキャリアを持つ斉木和成さんにお話を伺いました。
まずは、海外と日本の薬剤師の年収事情から紐解いていきます。

アメリカでは薬剤師の年収は1000万円超

日本とアメリカの年収を比べてみると、その差は歴然。なんと2倍以上の開きがあります。薬剤師700名に聞いたアンケートによると、薬剤師さんの年収は500~600万円がボリュームゾーンですが、1000万円以上の人が6%はいるようです。

 

アメリカの薬剤師は1000万円以上!

※アメリカの年収は米国の求人情報検索サイトGlassdoorより(2018年11月30日のレートで換算)。日本の年収は「マイナビ薬剤師」「薬剤師300人に聞いた年収の本音」より。「薬+読」編集部で作成。

 

日本の薬剤師の年収は500~600万がボリュームゾーン

※「薬剤師700人アンケート」「マイナビ薬剤師」調べ。実査委託先:楽天インサイト(2018年10月)。

日本は薬剤師の社会的地位が低い!?

「海外のホテルで、職業に『薬剤師』と書くと、ホテルマンの態度が一変した経験を何度もしました。薬剤師というだけで、部屋をグレードアップしてくれたこともあります」
こう語るのは、薬局長から薬局経営、ドラッグストアの立ち上げまで薬剤師として多彩な活動をしてきた斉木和成さん。斉木さんは、海外研修などで外国を訪れるたびに、「外国の薬剤師の社会的地位は日本よりはるかに高い」と感じてきたそう。

 

「日本で社会的地位の高い職業といえば、医師や弁護士をあげる人が多いですが、薬剤師はどうでしょう? 薬剤師は医師が出した処方せんどおりの薬を用意するだけ、そんな風に思われている節がありますね」

 

欧米や韓国などアジアの医療先進国では、薬剤師は職業としての社会的信用度は医師と並ぶトップクラス。欧米では、医師より薬剤師の年収が高いことも。前出のグラフの通り、アメリカの薬剤師は日本よりずっと年収が高いのです。

 

「フランスでは、街の至るところに緑色の十字架の看板を掲げた薬局があります。ちょっとした病気なら、“かかりつけ薬局”に行き、薬剤師が医師と同等の健康相談から治療、投薬まで行えます。
また、医療先進国の中でもトップクラスのドイツでは、薬局を開設する資格は薬剤師のみに限定されています。資金さえあれば誰でも薬局を開局できする日本とは異なり、厳しい規制があります。さらにドイツでは、調剤権は医師にはなく、薬剤師のみに認められていて、医薬分業を完全な形で実現しています」

 

日本でも欧米に倣って医薬分業を掲げ、2016年度からは“かかりつけ薬局”が推進されて広まりつつありますが、欧米ほどの機能をなしていないのが現状だと斉木さんは言います。

薬学部6年制で薬剤師が不足

日本では2006年から全国の薬科大学・薬学部に6年制が導入されました。この影響もあり、薬科大学・薬学部は2004年度には55校でしたが、導入前年の2005年度は62校に急増し、2018年度には75校と過去最多となっています。

 

6年制を導入する際、厚労省の会議に出席していた斉木さんは、当初の狙いとは違ってしまったと言います。
「薬剤師の地位向上と、医療現場で実習を積むことで臨床に強い人材を教育することを目的に6年制を進めました。しかし、新設校が乱立して定員割れを起こし、以前より入学が容易になって学力が低下したためか、国家試験の合格率がピーク時の8割から、4割程度に下がってしまいました。その結果、新卒の薬剤師が不足し、薬剤師の人出不足が慢性的に続いているのです」

 

最近はキャリアアップを望まず、安定志向の働き方をする薬剤師が増えてきていると、斉木さんは分析します。
「国家試験に合格するために、勉強にはとっても熱心だったはずが、いざ働きだすと仕事には意欲を燃やせないのか、1年で辞めてしまう薬剤師も多いですね。

 

薬剤師の求人はまだたくさんあるので、“辞める”のもひとつの決断ですが、仕事を面白くするのも、つまらなくするのも自分次第。目の前の仕事をただマシンのように淡々とこなすだけでは、仕事はどんどんつまらなくなってしまうし、年収だって上がっていくはずがありません。

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転職成功への「ハッピープラン」

「薬剤師の仕事は単調と思われがちですが、患者さんの健康状態を知って薬を提案し、地域住民の健康をサポートする、とてもクリエイティブな仕事といえます」

 

薬剤師として幸せに働き続けるために、まずは自分なりの目標を立てることを斉木さんは提案します。

 

「自分が将来どんな薬剤師になりたいのか、今日より明日、成長するには何をするべきか、目標を掲げてみましょう。
日々の小さな積み重ねは、将来の薬剤師としての成功の種になり、やがて日本の薬剤師の地位向上につながっていくと思うのです」

 

自分の目標を書き出すと…

キャリアup&転職の方向性が見える

□専門病院や大学病病院で薬の知識を深めたい

病院薬剤師へ転職

□薬局長になって後輩を育てたい 

職場でキャリアアップを目指す

□知識を深め医師と対等な関係を築きたい

病院の門前薬局へ転職

□創薬や薬の研究をしたい

企業への転職する 

□地域住民がホッとする愛される薬局にしたい

薬局の内装を提案、健康相談会などイベントを企画してみる

□患者さんの健康相談にのりたい

かかりつけ薬剤師を目指す

□漢方に強い薬剤師になりたい

漢方専門薬局に転職。中国に旅し、本場の漢方に触れる

□MRと仲良くなって新薬の情報を聞く

薬の情報に詳しくなり、薬局長や医師に頼られる存在になる

□自分だけの患者さんノートを作る

患者に信頼される薬剤師になる

 

「専門病院の門前で専門的な薬の知識を深めるもよし、大学病院で幅広い知識を身に着けるもよし。私は漢方薬局に勤務したときは、漢方医独自の処方せんを見てとても勉強になりました。
海外からの観光客も増えていますから、外国語を学んで海外の人の対応は自分が担当するという目標も今の時代に合っていると思います。

 

医師と対等に渡り合いたいなら、薬局長などグループのトップを目指すのもよいでしょう。すでに責任のある立場なら、後輩を育てることに尽力してみてはどうでしょうか」

 

また、将来のビジョンがはっきり描けない人は、
「薬歴記入や事務作業などの正確性やスピードを高め、業務を効率化する」
「MRと接する機会があるのなら、新薬に関する情報を1週間に1つ聞き出す」
といった具合に、日々の業務で小さな目標を設定するのもおすすめだという。

 

「私は患者さん専用のノートを作ってあれこれとメモしていました。患者さんに合わせて薬の副作用の説明をしっかりできるようにしたり、飲み忘れを防ぐ工夫をしたりするなど、日々の業務でできることはたくさんあるはずです。

 

小さな目標を達成し、”もうここで学べることはすべて学んだ”と思えたら、ステップアップできる新たな職場に転職するとよいでしょう」

 

一人ひとりの薬剤師がステップアップしていくことで、地域医療の質は高まっていきます。やがて薬剤師の社会的地位が向上し、年収がアップする。そんな将来を目指して、できることから始めてみましょう。

 

監修/斉木和成 取材・文/西谷友里加

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顧問薬剤師 斉木和成さん

1978年東邦大学薬学部を卒業。西新井病院(梅田分院)に5年勤務し、薬局長に就任。
天龍堂漢方薬局勤務後、日本初の大型ドラッグストア1号店『マツモトキヨシ上野店』の企画、創業の責任者を担う。その後、川崎幸病院、慶應義塾大学病院付属「慶友病院」の薬局長、東京大学病院の薬剤師主任を務めるなど、分業薬局を創設して日本の医薬分業と薬剤師の働き方の幅を率先して広げてきた。1994年には埼玉県浦和市に、自営の県内初の医療モールを創業し、経営に携わる。現在は若手育成などに従事している。
現在は顧問薬剤師として若手育成や薬局運営相談、執筆などを手掛ける。著書に『薬剤師の新・幸福論 薬剤師に捧げる成功する処世術!』(幻冬舎ルネッサンス新書、アマゾン電子書籍で販売)がある。

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