薬剤師の働き方 薬剤師の働き方

辞めたい、辛い、転職したい薬剤師の不安に達人がアンサー Vol.4
薬剤師に今後必要な資格は? 起業するには?

「薬剤師は将来どうなる?」「薬剤師の今後の働き方とは?」。これからの時代、薬剤師の不安に『薬剤師の新・幸福論』の著者、斉木和成さんがアドバイス。今後の薬局・薬剤師のあり方、薬局の起業について考えてみましょう。

将来目指す薬剤師「専門スキル」に人気が集中

1位 資格を取得して専門スキルを身に着けたい

2位 チーム医療にかかわりたい

3位 かかりつけ薬剤師を目指したい

4位 英語を使える薬剤師になりたい

5位 企業で働いてみたい

6位 薬局を起業してみたい

※「薬剤師700人アンケート、将来目指す薬剤師とは?」(マイナビ薬剤師調べ)から抜粋。実査委託先:楽天インサイト(2018年10月)。

 

薬剤師は資格を取れば生き残れるか?

薬剤師の就職は、長年売り手市場が続いてきました。しかし、薬局が淘汰されつつある今、働く場所の減少や、AI化、機械化の進歩により、「薬剤師がいらなくなるかも」という漠然とした不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

 

マイナビ薬剤師が実施したアンケート「将来目指す薬剤師とは?」の答えで最も多かったのは、「資格を取得して専門スキルを身に着けたい」でした。
「かかりつけ薬剤師」に必要な研修認定薬剤師をはじめ、さまざまな資格が乱立しています。何を身に着ければよいのでしょうか。

 

「まずは患者さんに寄り添える心使いのできる薬剤師であることが最重要だと考えます。そのうえで、資格取得を目指し、薬剤師としての強みを作っていくのもいいと思います。
もはや調剤だけでは、薬局も薬剤師も生き残れないという現実があります。
いかに人が集まる薬局にしていくかが課題です」と、斉木和成さんは続けます。

 

「患者さんが集まる薬局とは、入った瞬間にわかります。薬剤師がイキイキと働いていて、患者さんにきめ細やかな心配りができているんです」

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生き残る薬局、選ばれる薬剤師3か条

1 患者ひとり一人に寄り添った対応ができている

「患者さんは普段より悪いコンディションで薬局に来ているので、不安を取り除いてあげると、患者さんにとって心地よい場所となります。
歩きにくそうな患者さんがきたら、薬剤師は率先してその患者さんの元に行き、席まで誘導する、お子さん連れのお母さんにはキッズスペースを案内するなど、当たり前の気遣いができない薬剤師さんも多いものです」

 

「ある日、指にケガされていた患者さんが、保険証をお持ちではありませんでした。
事情があって病院には行きたくないご様子でしたので、「自費になりますが、よろしいですか?」と確認し、処方せんが不要な塗り薬をお出しました。その患者さんとは、その後も長いお付き合いをさせていただきました」

 

斉木さんは、「今目の前の患者さんにとって最良な選択とは何か」を常に模索し続けてきたといいます。患者さんと良い関係を築くには、「一期一会」ではなく、「継続」が大切。
「私は現場では、患者さんノートをつけていました。病歴や治療、投薬状況のほか、どんな人柄で、どんな食生活をしているかなど、患者さんとの対話で感じたことを何でもメモしておきました。

 

2 プロ意識を持ったスタッフが接客している

「私は自分の薬局を開いた時、従業員を伊勢丹の受付に視察に行ってもらいました。
老舗百貨店の受付は、接客も超一流です。そこから学ぶことはたくさんあります。

 

また、スタッフたちと落語鑑賞にもいきました。“笑い”や“人情”は心を豊かにし、人間関係を円滑にしてくれる力があると思います」

 

ある薬局では、医療事務として、接客のプロであり語学力もある元キャビンアテンダントやアナウンサーの卵を雇用していました。
得意なスキルを持ったスタッフを仲間に入れることで、薬局のイメージも上がり、薬剤師は業務に集中できるようになります」

 

3 患者ファーストの店舗であること

「患者さんで混んでいても快適に過ごせるよう椅子やスペースは十分あるか、待ち時間にたいくつしないような雑誌などのアイテムはあるか、BGM、バリアフリー、キッズスペース、飲料水、消毒用アルコールやマスクなどの準備など、患者目線で何が必要か、自分の薬局には何が足りないかを考えてみましょう。

 

また、スペースにゆとりがあれば、従業員がミーティングできる部屋を、調剤室とは離れた場所に確保するのがおすすめです。
薬剤師が新薬について学ぶ勉強会を開いたり、MRと打ち合わせしたりする場所としても使えます。業務以外で心がやすらぐ場所があることで、職場環境が良くなります」

薬局を起業する資金はいくらかかる?

最後に、「自分の理想の薬局を実現してみたい」。薬局を起業する方法について解説していきましょう。
埼玉県で初の医療モールを手掛けた斉木さんは、どんな準備をしたのでしょうか。

 

「薬局を開業するには、立地の選定から資金調達まで、多くの条件をクリアしなければなりません。開業支援のコンサルタントは、医療関係者や医師など100人以上の人たちに合って相談していきました。

 

薬局の開業資金は、個人薬局で賃貸物件の場合1000~2000万円、医療モールなどの場合5000万円は必要になるでしょう。設備費と在庫薬品の費用が主となります。

 

国や都道府県、民間金融機関から資金の融資の中には、事業計画書の審査に通れば無担保・無保証人でも受けられる場合もあり、充分な資金がない人でも開業を叶えられることもありえます。

 

ただし、計画書を自作した場合に日本政策金融公庫では20%しか融資が下りないケースも。中小企業診断士に計画書の作成と面接の同行を依頼すると、融資を受けられる可能性が高まります」。

資金がなくても開業可能なケースも

「調剤薬局は処方せんがないと機能しませんが、クリニックや病院側も、近くに薬局がないと経営が厳しくなります。つまり、クリニックや病院を新規で開業するにあたり、薬局が必要になるわけです。開業志向のある医師を見つけることもポイントとなるでしょう。

 

薬局の経営者に開業資金が充分にない場合でも、クリニックや病院側が門前薬局として物件を用意するというケースもあります。

 

大学病院を辞めて開業したいので近くに薬局が欲しいという医師もいますし、店舗数を拡大したいフランチャイズのチェーン薬局もあり、起業のパターンはさまざま。

 

開業において最も重要なのは“立地”。どんな病院やクリニックと連携できるか、これに尽きます。そこで大事なのは、やはり人脈です。
私は大学病院を辞めて開業の準備をしている医師に会いに行ったり、MRに頼んで医師に合わせてもらったりしました」

 

斉木さんは、薬剤師として働きながら10年間、開業のための人脈づくりに奔走していたと言います。

 

「病院を開業すると聞けば、医師の人柄や経営方針を調べました。また、既存の病院であれば現地に何度も足を運んで視察し、近隣の薬局の状況や患者さんの様子などをリサーチしました。開業まで100軒以上を見て歩きましたね。
現場を見て歩くことでイメージが明確になり、細かい事業計画が立てられるようになっていきます」

 

開業への第一歩として、開業セミナーに参加するほか、独立を支援している薬局へ転職するという手もあります。「将来のビジョンを描きながら準備を一歩ずつ進めていくことで、チャンスは必ず訪れる」と、斉木さんは熱く語ります。

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顧問薬剤師 斉木和成さん

1978年東邦大学薬学部を卒業。西新井病院(梅田分院)に5年勤務し、薬局長に就任。
天龍堂漢方薬局勤務後、日本初の大型ドラッグストア1号店『マツモトキヨシ上野店』の企画、創業の責任者を担う。その後、川崎幸病院、慶應義塾大学病院付属「慶友病院」の薬局長、東京大学病院の薬剤師主任を務めるなど、分業薬局を創設して日本の医薬分業と薬剤師の働き方の幅を率先して広げてきた。1994年には埼玉県浦和市に、自営の県内初の医療モールを創業し、経営に携わる。現在は若手育成などに従事している。
現在は顧問薬剤師として若手育成や薬局運営相談、執筆などを手掛ける。著書に『薬剤師の新・幸福論 薬剤師に捧げる成功する処世術!』(幻冬舎ルネッサンス新書、アマゾン電子書籍で販売)がある。

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