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薬剤師の新人教育研修(1) 処方せん受付を教える際のポイントとは? 文:加藤鉄也(研修認定薬剤師、JPALSレベル6)

調剤と鑑査で新人が悩むポイントを理解し、指導に生かそう

調剤薬局の業務フローとして、まずは「受付」「処方箋のチェック」を行い、「医薬品の調剤と鑑査」「服薬指導と薬歴記載」と続きます。前回は受付と処方監査についてお話しました。今回は、調剤と鑑査について、効率よく新人教育を行うポイントをお伝えしましょう。

基本だからこそしっかり指導したい「調剤と鑑査」

医薬品の調剤と鑑査は、患者さんに薬品や数を間違いなく渡すという重要な業務。新人薬剤師にもしっかりと実践して欲しいところです。指導する側としては、重点的に教えるべき内容を整理しておくことが大切。一般的な調剤である計数、計量、一包化とその鑑査について新人が悩んだり、見逃したりしがちなポイントについて考えてみましょう。

調剤指導の前に、薬剤が置かれている場所を把握してもらおう

最初に新人薬剤師が戸惑うポイントとして、処方箋に記載されている薬剤の場所をすぐには覚えきれないことが挙げられます。何を出すかがわかっても、場所がわからなければそろえることはできません。指導する際には、調剤棚や保管のルールを整理して教えてあげると良いでしょう。

 

処方箋医薬品、向精神薬、劇薬、貼付剤、外用剤、液剤など大まかな保管場所の区分や、五十音順、処方量が多い順など、それぞれの薬局が決めているルールに合わせて、順番に説明することで記憶に残りやすくなります。ルールを理解し、自分一人で探すことができるようになれば自然と手早く、正確に集薬できるようになります。

計数調剤:一般名から商品名を連想

改めて、調剤の基本である計数調剤について、新人が陥りがちなミスから指導のポイントを探ってみましょう。
処方せんから錠剤や外用剤などの数を計算することは、たいていの新人薬剤師でもできること。基本的なことだからこそ、鑑査においては商品名・規格・剤型・数が、処方内容に適切かどうかをしっかり確認するように指導する必要があります。

一般名処方と商品名を一致させるには

また、一般名処方と実際の商品名の関連付けができていないのも、新人薬剤師を悩ませるポイントです。口頭での指導はもちろんですが、一般名薬剤対応リスト等がある場合は、自分自身で確認する習慣をつけるように指示してみましょう。

 

ただし、薬局内に在庫がない薬剤が処方された場合を考えて、リストにない商品名であっても、自分で調べる方法を学ばなければなりません。レセコン検索や「今日の治療薬」・「治療薬ハンドブック」などの書籍で探すといった機会を設けながら、練習を重ねる時間を与えましょう。もし、該当製薬会社ではない民間サイトで検索した結果であれば、公的文書や添付文書等で裏付けする必要があることも必ず伝えておきましょう。

 

指導者として常にサポートができるのが理想的ですが、自分の業務が忙しかったり、採用していない一般名の薬剤が処方されたりすることもあるでしょう。新人薬剤師本人が、調査方法を身につけられるような指導を重視することで、業務に対して前向きに取り組む姿勢をつくるきっかけにもなります。

計量調剤:鑑査を意識した作業ができない

散剤や液剤、軟膏剤など、2種類以上の薬剤を計量して混合する場合は、計量混合加算を算定できるため、収益面でも重要な業務です。

 

新人が失敗しやすいケースとして、散薬分包や軟膏充填、混合を行ったにもかかわらず、記録を怠ったことで、鑑査が難しくなってしまうことがあります。鑑査のことを考えて「何を」「どれだけ」入れたかが分かるように、記録を残す習慣をつけるように指導してみましょう。

 

もし、秤量(ひょうりょう)した薬剤と量を記録できる鑑査システム機器がある場合は、使用手順を指導すれば問題ないでしょう。しかし、設置されていない場合には、調剤するボトルを調剤前に鑑査者に見せる、秤量した値を鉛筆で処方せんに書く、軟膏であれば分注したものの殻を残すなど薬局独自で決めている鑑査ルールを事前にまとめたうえで、指導を行いましょう。

 

とはいえ、こうした手順やルールをマニュアルとして教えても、大量すぎて新人の頭にはなかなか入らないかもしれません。まずは、鑑査のルールが作られた理由を説明したうえで、一つずつ理解させるように心がけること。同様に、ただルールを押し付けるのではなく、新人ならではの視点で、新たに効率化できる方法や不備などが見つかった場合には、ルール内に取り入れるよう検討することも大切です。新人薬剤師の研修を通して、より働きやすい職場づくりも考えてみましょう。

混合して良いか判断できないケースもある

もうひとつ、計量調剤の際に起こりやすいのが、本来混合に適さない薬剤であるにもかかわらず、確認不足で誤った判断をしてしまうというミスです。インタビューフォームや添付文書での確認と同時に、「軟膏・クリーム配合変化ハンドブック」「シロップ剤の配合変化」などの書籍を使って調べたり、メーカーに問い合わせたりしたうえで、混合できるかどうかを判断するような指導が欠かせません。混合に適した薬剤かどうかを注意深く確認する意識をもたせましょう。

一包化:識別コードの失念や鑑査対象物の保管ミスが起こりやすい

高齢化が進み、在宅介護へのサポート業務が増えていくなかで、複数薬剤の一包化は、患者さんやその家族のニーズに応える大切な仕事です。業務のなかでも、複雑になりやすい作業のひとつでしょう。

 

一包化の指導で注意すべきなのは、鑑査の際に必要となる分包した薬剤数や識別コードがすぐに分かるように鑑査対象物を保管するように指導すること。例えば、錠剤をばらした際は、PTP包装を必ず残しておくように指導するのも一つの手です。一包化した薬剤と数を確認する際に必要なものであり、識別コードが記載されている場合も多いので、紛失や破損が起きるとチェックができません。また、識別コードは添付文書や薬の外箱にも記載されているので、その都度チェックしながら覚えていくように促しましょう。

鑑別依頼を頼まれた場合には

一方で、病院や患者さんからの依頼で、一包化された錠剤の鑑別を求められることがあります。そうしたケースに備えて、識別コードから薬剤を調べる方法も指導しておきましょう。「今日の治療薬」「治療薬ハンドブック」といった書籍や、日本医薬品DB、Safe-DIなどのインターネット検索から調べる方法があります。識別コードはルールを決めて記載しているメーカーもあり、例えば小野薬品の場合には、識別コードに必ず「ono」という表記が含まれます。そうしたメーカー製品であれば、製薬会社のホームページで検索したほうが早い場合もあるでしょう。より効率的な方法を、その都度、指導できるのが理想的です。

 

膨大な量の識別コードを新人薬剤師が覚えるまでには、時間がかかります。しかし、一包化におけるトラブルを防ぐうえでも、できる範囲で記憶し、またチェックする作業はとても大切です。指導の際には、調剤の度に識別コードを覚えていけるように、調べたり鑑査したりする時間を取ってあげるようにしてみましょう。

一包化できる薬剤かどうかも確認しよう

一包化を依頼されたとしても、必ずしも処方薬が一包化に適しているわけではありません。見慣れない薬剤や、はじめて来院された患者さんの場合には、念のため確認しておく必要があるでしょう。添付文書や「錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック」などの書籍、粉砕分割一包化DBなどのインターネット検索といった方法で調べられることを伝えておくと安心です。分からない場合は確認するように声掛けをしながら、自分で調べる習慣を身につけられるように指導していきましょう。

調剤、鑑査はルールの設定と長期的な視点が大切

調剤や鑑査はルールを理解し、経験を積むことで、身についていくスキルです。指導者としてルール作りを進めながら、そうしたルールが作られた経緯や理由を説明することで、理解度を高めることができます。新人薬剤師が、自分で調べながら業務を行う習慣が身につけられるようにサポートしてあげましょう。

 

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