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セレコックスとロキソニン!? 臨床現場で目撃する多剤併用……この処方ってあり?

見落としがちな多剤併用。ロキソニンとセレコックスも重複投与?

1日1回が承認用法である降圧剤が、1日2回処方されている処方箋を日常業務の中で目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。医薬品医療機器等法(旧薬事法)の承認内容と異なる用法用量での処方や、同薬効薬剤の重複投与にあたる処方は、厚生局による該当薬局への個別指導における指摘対象となります。
整形外科でリウマチの患者さんに対してよく行われる「セレコックス」と「ロキソニン」の併用についてはどうでしょうか。一見、問題なく思える処方ですが、実はこれも重複投与に該当します。

そもそもセレコックスとロキソニンは併用できるのか

セレコックスとロキソニンは、薬理作用の観点では併用しても問題はありません。しかし重複投与の観点から見ると、セレコックスとロキソニンは同じ薬効の薬剤です。
同一薬効成分の多剤併用は薬学的に問題のある処方とみなされ、個別指導では指摘対象となっています。処方内容に関する薬学的確認は、薬剤師の大切な業務のひとつです。セレコックスとロキソニンの併用は可能でも併用するためには、疑義照会による確認が必要なのです。

何が違うの?セレコックスとロキソニン

では、実際にセレコックスとロキソニンでは、どんな点が違うのでしょうか?
セレコックスはロキソニンのマイナス面をカバーしたNSAIDsと考えられています。ロキソニンと比べセレコックスは、COX2選択性という薬理作用により、消化管の副作用軽減が期待されるもの。COXは様々な働きをする酵素のひとつで、COX1とCOX2という2種類に分けられます。
なぜ同じNSAIDsでもCOX2選択性だと副作用が軽減されるのか? 
薬剤師国家試験で学んだCOX1とCOX2の働きの違いを思い出すと、そこに答えが隠れています。

 

➢ COX1は常時存在し様々な機能を発揮する

COX1は胃粘膜や血管などに常に存在し、胃酸分泌や止血など様々な働きをしています。

 

➢ COX2は炎症反応があったときに作られる

COX2は痛みや炎症に関与する酵素で、炎症反応が起こったときに作られます。

 

セレコックスやロキソニンのようなNSAIDsは、これらCOXの働きを阻害することで効果を発揮します。従来のNSAIDsはCOX1、COX2に関係なくその働きを阻害してしまうため、本来阻害したくないCOX1の良い作用までも阻害してしまうのです。その結果、胃腸障害などの副作用を引き起こしやすいと考えられています。一方、セレコックスはCOX2選択性でほとんどCOX1の働きに影響を与えないと考えられており、阻害したい働きのみをねらって作用するというわけです。

 

またセレコックスの半減期は約5~9時間、ロキソニンは約1時間と薬の体内消失速度も大幅に異なります。セレコックスはロキソニンと比べ即効性はないものの、長時間の鎮痛効果が期待できる薬剤です。急性期の痛みではなく、腰痛やリウマチなど慢性的な痛みの場合にセレコックスが適しているといえるでしょう。

セレコックスとロキソニンの併用で注意すべきこととは

セレコックスとロキソニンを併用する場合に薬学的観点から注意すべきなのは、副作用リスクの上昇です。セレコックスの消化管に関する副作用は、理論上は軽減されるとはいえゼロではありません。国内の臨床試験結果では消化管の副作用発現率に、差は認められなかったという報告もあります。あくまでも「理論上は副作用の軽減が期待できる」という認識に留めておくほうがよいでしょう。セレコックスとロキソニンが同時に処方された処方箋を手渡されたとき、薬剤師として大切なことは処方医に確認を取り、確認した内容を薬歴に必ず記入して残しておくことです。

多剤併用の基本! 高齢の患者さんと接する機会の多い薬剤師は要注意

多剤併用のチェックは高齢の患者さんと接する機会が多い薬剤師ほど携わることの多い業務です。特に高齢の患者さんは整形外科の受診率が高いため、セレコックスとロキソニンの併用が起こりやすい状況にあります。日常的に整形外科の処方せんを扱っていない薬剤師では、見落としてしまう可能性も高いのではないでしょうか。

 

普段から高齢の患者さんが少ない薬局では特に注意が必要です。そのうえでセレコックスとロキソニンの併用が見られる処方があれば疑義照会を行い、その結果を薬歴へ忘れずに記載するようにしましょう。

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