接遇マナー・テクニック 接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
お渡し済みの薬の返金を求められたら
お渡し済みの薬の返金を求められたら
3日前にお渡しした痛み止めで副作用が出てしまった患者さんから「この薬を別の薬と交換するか、だめなら返金してほしい」と言われました。痛み止めは3週間分処方されており、まだかなり余っています。返金できないことはお伝えしたのですが、納得していただけずに困っています。どのようにお話ししたら、納得していただけるでしょうか。
Answer
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薬剤師の常識が、一般の人にとっても常識だとは限りません
「一度渡した薬は返品や返金ができない」。私たち薬剤師にとっては当たり前のことですが、患者さんにしてみれば「新品なのに、どうして?」と思うもの。この連載で何度も言っていますが、薬剤師にとっての常識が一般の方にも通用するとは限らないのです。
そのため、返金には応じられないという旨を伝えつつ、「大変申し訳ございません」と希望に沿えない点をお詫びします。返品・返金に応じられないことについてのお詫びではなく、希望に沿えないことについてのお詫びです。そう思えば、「薬が返品できないのは当たり前なのに!」と思う気持ちも和らぐのではないでしょうか。うわべだけの謝罪は相手の心に響かず、二次クレームに発展してしまう可能性もあります。心から申し訳ないという気持ちを込めて、丁寧に応対してください。
患者さんの“わずかな変化”を見逃さないで
また、ここで気になるのは、「3週間分の痛み止め」という点です。薬にもよりますが、初診で痛み止めを3週間分も処方することは考えにくいため、この患者さんが継続して飲んでいる薬だと思われます。
だとすると、ここで突然副作用が出たというのは、何らかの変化があったということ。患者さんの「この薬で副作用が出た」という言葉を鵜呑みにして終わりにするのではなく、どんな副作用が、いつから出ているのかなどについて、詳しくヒアリングしてみましょう。もしかすると、体調の善し悪しでたまたま出てしまったのかもしれませんし、他の病気のために何か薬を併用し始めたことが関係している可能性もあります。
 
このような状況で患者さんから話を引き出すのは難しいかもしれませんが、そこは薬剤師の腕の見せどころ。しっかりと患者さんの言い分を聞き、一段落したタイミングを見計らって「ところで、生活に大きな変化があったということはありませんか?」「新しく薬を飲み始めたということはありませんか?」など、うまく話を引き出して「副作用」と思われている変化の原因を探ってみましょう。
原因さえわかれば、その痛み止めをそのまま服用し続けられるかもしれませんし、場合によっては薬の飲み合わせによる危険な副作用を回避することができるかもしれません。そうなれば、薬剤師として大いに患者さんの役に立てたことになりますね。
患者さんの言葉の裏を読み、ささいな変化からあらゆる可能性を模索する。それも「薬剤師が果たすべき使命」です
患者さんの言葉の裏を読み、ささいな変化からあらゆる可能性を模索する。それも「薬剤師が果たすべき使命」です
村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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