薬剤師の接遇マナー・テクニック 公開日:2016.10.19更新日:2023.03.23 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
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窓口で請求した薬代が間違っていたら
窓口で請求した薬代が間違っていたら

事務の方がレセコンに入力した薬の名前が間違っており、患者さんに実際よりも高い金額をいただいてしまうというミスがありました。その場ですぐに気づいたので返金し、私が薬局代表として謝罪しました。その場はこれで収まりましたが、患者さんは強い不信感を抱かれたようです。患者さんにまた信頼していただくには、どのような応対が望ましいのでしょうか。

Answer
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ミスそのものよりも、ミスをした後の対応が大切

こういうミスは薬局の信頼にも関わるので、なくすために最大限の努力を行いたいもの。しかし、ヒューマンエラーはどんなに気をつけていても100%防ぐのは難しいので、むしろ起こってしまった後の対応がとても重要です。それを踏まえたうえで今回のケースを考えてみましょう。
まず、「レセコンに入力した際に間違っていた」とありますが、事務の人が入力した後は必ず監査を行うはずです。つまり、入力ミスはもとより、監査を行った薬剤師(薬局によっては調剤を行った薬剤師)の監査漏れでもあるわけですが、質問文からはレセコンの入力ミスだけが原因であるかのような印象を受けます。
私がその場にいたわけではないので推測になりますが、今回、患者さんが強い不信感を抱いたのは、そういう「私(あるいは薬剤師)のミスではないのに」という気持ちが言葉や態度に出てしまっていたのではないでしょうか。クレーム応対の基本として過去にもお伝えしている通り、口先だけで謝罪しても誠意は伝わりません。「悪いのは私じゃないけど、薬局代表だから(仕方なく)謝っている」という気持ちでいると、相手はそういう思いも敏感に感じ取ってしまいます。

薬局内の一体感を高めるための意識改革を

今回の質問の回答としては「不信感を抱かせてしまったことについて誠心誠意、気持ちを込めて謝罪する」「今後どのような対策を行うかを伝える」といったポイントがあげられます。患者さんによっては「これまでの薬は大丈夫だったの?」と不安に感じるかもしれませんので、不安な思いをさせてしまったことも含めて誠意をもって謝罪し、「これまでの分に関しては間違いありません。大丈夫です」と明確に伝えて安心してもらえるよう配慮すべきだと思います。
 
しかし、なによりも大切なのは意識改革だと思います。薬局のスタッフ全員がチームとして仕事をしているのですから、誰がやったのか、誰のミスかと考えるのではなく、どうすれば極力ミスをなくせるのか、ミスがあったときはどう対応すれば、患者さんの不安や不快感が軽減するかを最重要視すべきです。
 
冒頭でもお伝えしましたが、ヒューマンエラーは完全に0にすることはできません。質問者さんもミスをして、周りにフォローしてもらうこともあるでしょう。しかし一体感を持って仕事をすることでミス自体も減ってきますし、謝罪をする際の印象も大きく変わってくると思います。
誰の責任かを問うのではなく、薬局のミスとして受けとめる。その一体感があるかどうかで謝罪の印象も大きく変わってくるものです
誰の責任かを問うのではなく、薬局のミスとして受けとめる。その一体感があるかどうかで謝罪の印象も大きく変わってくるものです

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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