薬剤師の接遇マナー・テクニック 公開日:2015.07.22更新日:2023.03.23 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
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医師へ上手に処方提案をするには?
医師へ上手に処方提案をするには?

300床程度の総合病院に勤務しています。最近はチーム医療の一環として、以前よりも患者さんに関わることが増えてきました。それに伴い、医師に処方提案を行う機会も増えたのですが、忙しそうな先生や、プライドが高く提案を受け入れてくれない先生など、難しいと感じることも多いです。医師と関わるための上手な方法はないでしょうか。

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まずは医師に顔と名前を覚えてもらう

チーム医療の一員として求められている、恵まれた環境にいらっしゃるようですので、積極的に医師とも関わりを持ちたいところですね。確かに、医師はいつも忙しそうなので、声をかけにくいでしょう。私にも病院勤務の経験があるのでよくわかります。
しかし厚労省の調査によれば、8割もの医師が病棟薬剤師の配置を評価しています。勇気を出して、積極的に医師に話しかけてみましょう。
とはいえ、やみくもに医師に声をかければいいというものではありません。まずは、医師の手が比較的空いている時間を調べてみましょう。医師に直接尋ねるのも一つの方法ですが、病棟の看護師やクラークに医師のスケジュールを確認してみてもいいと思います。手が空いている時間なら、医師もこれまでと違う態度で接してくれる可能性が高いでしょう。
 
また、いきなり提案を押しつけるのではなく、まずは顔と名前を覚えてもらい、ある程度心を開いてもらうことが大切。そのために、たとえばその医師の専門分野に関する質問をして教えをこう。何度か質問に答えてもらううちに「最近、よく質問に来るな。熱心な薬剤師だな」と思ってもらえればしめたもの。ある程度話せるようになったら「ご提案をさせていただきたいのですが……」と切り出してみましょう。これで数倍、受け入れられやすくなるはずです。もちろん、提案の内容はしっかり吟味し、検討してもらえるレベルに達するよう努力を惜しまないことが大前提です。

「プライドが高い」からこそ、深い信頼を築ける可能性大

医師の「プライドが高い」ということですが、確かにそのような医師も少なくありません。しかし、薬剤師側が必要以上に及び腰になってしまっていることも多いのではないでしょうか。過去の相談でもお伝えしていますが、「恐いな、苦手だな」と思っているとその気持ちは相手にも伝わってしまうものです。自分を良く思っていない相手と仲良くしようと思う人はいません。医師を前に緊張する気持ちはよくわかります。しかしそこはがんばって、なるべく苦手意識を持たないよう、気持ちを切り替えましょう。
 
もう一つ。私の経験から言わせていただくと、一見プライドが高くて恐そうに見える先生ほど、いったん懐に飛び込んでしまえば予想以上に仲良くなれるものです。医師だって人間。しかも多忙を極めています。精神的に余裕がないことも、体調が優れないこともあるでしょう。1~2回冷たくあしらわれても、あきらめないでほしいと思います。
質問者さんの行動は患者さんのためを思ってのこと。最初のうちは多少、医師に不愉快な顔をされても、何度でもチャレンジしてください。真摯な思いは、必ず人を動かすと私は思います。医師との間に壁を感じている薬剤師がまだまだ多い現状だからこそ、質問者さんにはぜひ、がんばってほしいと心から思います。

1~2回の失敗でへこたれない。真摯な思いは必ず人を動かします!
1~2回の失敗でへこたれない。真摯な思いは必ず人を動かします!

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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