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西洋医学とは異なる理論で処方される漢方薬。患者さんから漢方薬について聞かれて、困った経験のある薬剤師さんもいるのでは? このコラムでは、薬剤師・国際中医師である中垣亜希子先生に中医学を基本から解説していただきます。基礎を学んで、漢方に強くなりましょう!

第9回 中医学の根幹をなす思想~陰陽学説とは~

アジアン雑貨店などでよく見かける下の図、意外と深い意味があるのを知っていますか?
これは「太極図(たいきょくず)」と呼ばれ、古代中国が生んだ「陰陽学説(いんようがくせつ)」という哲学のエッセンスをギュッと詰めこんだ図なのです。

古代中国の人々はこの混沌とした宇宙を知るため、自然現象を長期にわたって観察しました。その結果「物事にはすべて、対立する二つの面がある」という二元論に到達しました。実際、まわりを見渡せば、紙には表と裏があるように、また人間には男と女がいるように、光があれば陰(かげ)があるように、対立かつ依存する2つの要素が共存していることがわかります。この対立かつ依存する二つの存在、あるいは一つのものごとに内在する相互対立の法則を「陰陽学説(いんようがくせつ)」といいます。

宇宙にある森羅万象のすべては、内部に陰と陽の対立と統一を含んでいます。
陰陽学説では「自然界のあらゆる発生・変化・発展は、ものごとの中に陰と陽が存在するために生じる。陰と陽の相互作用は、ものごとの発生・変化・発展の原動力である」と考えます。

下に例をいくつか挙げてみましょう。

<陰陽対立表>
興奮 機能 上半身
衰退 物質 下半身

こうしてみていくと、活動的なもの・温かいもの・明るいもの・上昇しているもの・外向きのもの・機能的なもの・機能が亢進しているものは、すべて“陽”に属します。“陽”は、まさに“火”のイメージです。“火”は温かく、炎は上に燃え上がり明るいですよね。

反対に、静的なもの・冷たいもの・暗いもの・下降するもの・内向きのもの・物質的なもの・機能が減退しているものは、すべて“陰”に属します。“陰”は“水”のイメージと覚えると、イメージがつかみやすいでしょう。

ここで気をつけなければならないのは、「陰と陽は相対的なものであり、絶対的なものではない」ということです。例えば上半身と下半身でいえば、上半身が陽、下半身が陰ですが、上半身のみで陰陽を考えると、背中側は「陽」お腹側は「陰」になります。
では、なぜ背中が「陽」なのでしょうか。動物を思い描いてみてください。四つん這いで歩く動物は、背中側に陽の光を浴び、お腹側は影になるからです。

ところで、陰と陽のどちらかが良くてどちらかが悪い、ということはありません。どちらもなくてはならない存在、二つで一つだからです。陰陽どちらも必要で、そのバランスが大切です。陰と陽が調和しバランスがとれている“陰陽平衡の状態”では“健康”、陰と陽のバランスを崩した“陰陽失調の状態”では“病気”になります。

中医学は“イメージの医学”ともいわれ、イメージする力(ちから)や“悟性(ごせい、広義には物事を判断する思考力・知性のこと)”がとても大切です。
これら陰と陽のイメージを理解すれば、私たちの身の周りにあるあらゆるものを(もちろん人体の症状も)、陰と陽に分類して考えることができます。
次回は、もうすこし詳しく陰陽学説についてお話ししますね。

中垣 亜希子(なかがき あきこ)

すがも薬膳薬局代表。国際中医師、国際中医薬膳師、管理薬剤師。
薬局の漢方相談のほか、中医学・薬膳料理の執筆・講演を務める。
東京薬科大学薬学部卒業。長春中医薬大学、国立北京中医薬大学、イスクラ中医薬研修塾、国立北京中医薬大学日本校にて中医学を学ぶ。「顔をみて病気をチェックする本」(PHPビジュアル実用BOOKS 猪越恭也著)の薬膳を担当執筆。

すがも薬膳薬局:http://www.yakuzen-sugamo.com/

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