聞きたい!薬局実務裏ワザ 聞きたい!薬局実務裏ワザ

第75回 岡村 祐聡先生

「薬歴を書く時間がない」「毎回同じことしか書けない」「薬歴に書けるような話を患者さんから聞き出せない」……。
薬剤師の業務には欠かせない薬歴管理ですが、実はこのような悩みを抱えながら仕事を続けている方も多いのではないでしょうか。
今回は、薬剤師の担うべき医療を質高く実践するための理論と方法論である「服薬ケア」を構築し、その普及に尽力している岡村祐聡先生に、患者さんを中心とした「質の高い服薬指導」と「薬歴記載の方法」をうかがいました。
原稿/高垣育(薬剤師・ライター)

Q
短い時間で質の高い薬歴を書くにはどうしたらよいのでしょうか。誰にでも実践できるようなコツがあれば教えてください。
薬歴は「作文」ではなく「記録」。情報はその場で記載しよう
薬歴は「作文」ではなく「記録」。情報はその場で記載しよう
SOAPに沿った服薬指導を行うことで薬歴の時間を短縮できる!

 

薬歴は患者さんに安全で適切な薬物治療を提供するために欠かせないツールです。患者さんのカルテをあとでまとめて書いている医師はいませんね。医薬分業がスタートした際に「薬歴」というものの存在がなかったという歴史があるためか、多くの保険薬局では「投薬が優先」「薬歴記載は後で」としている状況が見受けられます。

 

その場で記録しておきたい情報をあとでまとめて書くことにすると、それは「記録」ではなく「作文」になりがちです。患者さんとどのような話をしたのか覚えておらず、当たり障りのないことを記載してしまったことはありませんか。
薬歴が患者さんの治療に役立つツールとしての役割を果たすためには、情報はその場で正確に記録し、次のケアの充実へとつなげることが不可欠です。

 

そもそも服薬指導は、薬剤師が頭の中でSOAPに沿って話を組み立て、行うものです。そうして考えながら行った服薬指導であれば、薬歴を記載するときにも各項目で書くことが決まっているので「作文」する必要はありませんし、内容を手早くまとめることができます。また、「この薬は嫌いなようです」「もう飲みたくないと思っているようです」など、患者さんから聞き取ったSOAP以外の情報も記載しておくようにしましょう。

 

薬歴は「記録」なので、体裁を整えるためだけに「作文」をすることもNGです。お話を聞けなかった患者さんの薬歴には「お急ぎのようで、お話を聞けなかった」など、正直に事実を記載します。もちろん、毎回それでは記録になりませんから、患者さんが心を開いてくれるまで根気強く関わることが大切です。

 

「気づく力」を育て、投薬後はすぐに薬歴の記載を

 

薬歴の記載では何よりも「一読すれば患者さんの様子がわかること」を目指します。
前回、「患者さんが発する非言語の訴え」に着目しましょうとお話ししましたが、それによって薬剤師の皆さんには「気付く力」を備えていただきたいと思います。具体的には「気づいたことをいくつ挙げられるか」という点です。例えば「いつもと来局時間が違う」「なんだか顔色が悪い」などのことですね。

 

処方の内容とこうした情報から、患者さんにとってのプロブレムを推定することはできるでしょう。ただし、推定したプロブレムが本当に正しいのかどうか、患者さんにきちんと確認している薬剤師はあまりいないように思います。これを身につけることができれば的確な服薬指導にもつながり、薬歴記載の時間は大幅に短縮できます。

 

そのためにも、投薬が終わったらその場ですぐに薬歴を記載することを習慣づけましょう。薬歴を投薬カウンターで書いていると患者さんの目が気になるという場合は、お店のレジや窓口などで作業中に立てるようなプレートを活用してはいかがでしょうか。「患者さんの健康を守るために大切な記録を記載しています。しばらくお待ちください」といった文言を記載して立てておくだけでも、患者さんが受ける印象は変わるでしょう。

岡村祐聡先生プロフィール
岡村祐聡先生プロフィール
明治薬科大学卒業。都内調剤薬局、調剤薬局チェーンの教育担当管理職を経て、1997年ホームページ服薬ケア研究所(http://www.fukuyaku.com/)を設立。2002年には、服薬ケアを学ぶ全国の有志が「服薬ケア研究会」を設立。要請を受け会頭に就任。薬局の指導や講演会、研修会などを精力的に行っている。著書に「POSを活用するすべての医療者のための SOAPパーフェクト・トレーニング」などがある。

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