聞きたい!薬局実務裏ワザ 聞きたい!薬局実務裏ワザ

第54回 鶴原伸尚 先生

近年、かかりつけ薬局が地域の患者さんの服薬情報の一元的管理を行い、医療費の適正化に寄与することが求められています。多剤・重複投薬の防止や残薬解消への取り組み、患者さんの薬物療法における安全性・有効性を保つなど、地域のなかで薬剤師が活躍する機会はますます増えるでしょう。
今回は「地域に根差した薬局」の薬剤師として患者さんに寄り添い、健康維持や改善に貢献している鶴原伸尚先生にお話をうかがいました。全5回のシリーズです。
原稿/高垣育(薬剤師・ライター)

Q
かかりつけ薬局として、薬剤師が在宅医療へ積極的に介入することが求められていますが、どのような患者さんに対して介入すればいいのでしょうか。
普段から患者さんの様子を観察することが大切なポイント
普段から患者さんの様子を観察することが大切なポイント
こんな患者さんには在宅医療の提案を

 
在宅医療の患者さんを受け入れるきっかけには、地域のケアマネジャーさんから依頼を受ける、自ら病院や施設に営業に行くなど、さまざまな経緯があると思います。そんななかでも当薬局の場合は、薬局を訪れる患者さんとの日々の服薬指導での様子からそれを見つけ出し、声をかけることでスタートします。
実は患者さんの“困っている”のサインは、普段の会話や待合室での様子から容易に拾い上げることができます。在宅でのフォローが必要かもしれないというサインのうち、すぐに気づくことのできる3つをご紹介します。
 

①来局頻度が処方日数と合わない
これは基本中の基本だと思います。処方日数に対し、来局日が極端に遅れているようだと適切な服薬ができていない恐れがあります。

②薬の飲み方を把握していない
服薬指導のなかで薬のシートを見せながら「これ、何の薬でしたっけ?」「この薬はいつ飲むんでしたっけ?」「この錠剤は、何錠飲んでいますか?」と、YES/NOだけでは答えられない“オープンな質問”を織り交ぜて、薬の服薬に関する理解度や薬識を確認します。もし、あやふやな回答が返されるようだと、正しく薬を飲めていないかもしれません。

③手元が不自由そう
会計時の財布からのお金の出し入れがおぼつかない。待合室で薬を飲んでいくときにシートから薬を出すのが大変そう。こういった様子がみられたら、自宅での服薬も難渋している可能性があります。

 
こうしたサインがみられた場合には、自宅で薬を飲むときはどうか、薬を飲むのが大変ではないかなど、さらに踏み込んで質問してみます。服薬が適切に行われているかの確認をしましょう。
 

在宅医療へ介入するタイミングとは?

 
患者さんの様子に上記のようなサインが認められ、自宅での服薬困難があるようなら、まずは一包化やお薬カレンダーの導入などを提案してみましょう。それでも患者さん自身での管理や服薬が困難であると薬剤師が判断した場合には、薬剤師がお宅に訪問することが可能であることを説明、提案しています。それに対して患者さんもしくはその家族から要望が出た段階で、医師に事情を説明し、在宅医療に介入することの同意をもらいます。患者さんが介護保険の利用者だった場合には、ケアマネジャーさんとも連絡をとり、ケアプランに組み込んでもらいます。
 
このように当薬局では私たち薬剤師が積極的に患者さんと他職種との間に立ち、在宅医療を受けられるように調整する仲介役を担っています。在宅医療とは、患者さんに薬剤師の訪問の必要性を提案し、それを喜んで受け止めてもらうことから始まるコンサルティング営業のようなものと考えています。
 

鶴原伸尚先生プロフィール
鶴原 伸尚先生プロフィール
株式会社ダヴィンチ つるさん薬局代表取締役。薬剤師。
患者さんから頼りにされる薬局薬剤師を目指し、患者さんへの医療機関の紹介、ノルディックウォークの普及を行う。在宅医療などの取り組みを通し、薬剤師と患者さんの間に「ありがとう」の言葉が飛び交う薬局として、地域医療に貢献している。
つるさん薬局: http://www.enifclub.jp/tsurusan/

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