聞きたい!薬局実務裏ワザ 聞きたい!薬局実務裏ワザ

第48回 成井繁 先生

「精神科領域の薬物療法が苦手」、「服薬指導に自信がない」という薬剤師は少なくないようです。そんな苦手意識を克服し、もう一歩踏み込んだ服薬指導を実践していくためにはどうすればいいのでしょうか。
今回は薬局薬剤師として初となる精神科薬物療法認定薬剤師の認定を受け、精神科の患者さんへの意欲的な服薬指導を実践している、成井繁先生にお話をうかがいました。全5回のシリーズです。
原稿/高垣育(薬剤師・ライター)

※商品名は種類が多いため、一部の先発品のみの記載となっています。

※商品名は種類が多いため、一部の先発品のみの記載となっています。

Q
患者さんの良好な服薬継続のために必要なことを教えてください。
患者さんの良好な服薬継続のために必要なことを教えてください。
信頼関係を築くための、ちょっとした知識と技術を身につけよう

 

患者さんと良好なコミュニケーションをとるためのコツ

 
精神科の患者さんが苦手だという薬剤師は、会話の入り口部分で戸惑うことが多いようです。その原因は精神疾患や治療薬の特徴を、明確にイメージしきれない点にあるのではないでしょうか。
 
患者さんとの信頼関係を醸成していくには、患者さんから出された疑問や不安に対し、丁寧にわかりやすく回答することが大切です。こうした会話のキャッチボールをうまく続けるためにも、精神科領域の疾患や薬剤の特徴を捉えることは不可欠でしょう。
 
今回は精神疾患のうち統合失調症を例に挙げ、治療薬の大まかな使い分けについてみていきます。
 

◇攻撃的、興奮状態、イライラする、睡眠がとれないタイプの患者さん

<処方されることの多い薬剤>
・定型抗精神病薬
フェノチアジン系:クロルプロマジン塩酸塩(商品名:ウインタミン、コントミンなど)など
・非定型抗精神病薬
MARTA:クエチアピンフマル酸塩(商品名:セロクエル)、オランザピン(商品名:ジプレキサ)など

<特徴>
・鎮静、催眠作用が強い

<副作用>

・錐体外路症状については、低用量なら出現する可能性が低い

・処方用量が多いと眠気や過鎮静という副作用につながる

・MARTAでは食欲増進・体重増加作用についても注意深く見守る

 

幻聴、幻覚、妄想があるタイプの患者さん
<処方されることの多い薬剤>
・定型抗精神病薬
ブチロフェノン系:ハロペリドール(商品名:セレネース)など
・非定型抗精神病薬
SDA:リスペリドン(商品名:リスパダール)、ペロスピロン塩酸塩水和物(商品名:ルーラン)、パリペリドン(商品名:インヴェガ)
DSA:ブロナンセリン(商品名:ロナセン)
DSS:アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)
<特徴>
・抗ドパミン作用が強い

・幻覚・妄想・幻聴などを抑える作用が強い

<副作用>

・錐体外路症状を引き起こす可能性が高い

・高プロラクチン血症

 
統合失調症の治療薬は効果発現が早いので、まずは患者さんに処方された日数を確実に服用してもらうことが第1の目標になります。一方、抗うつ薬は効果発現までに時間がかかるため、ある程度の期間継続服用してもらうことが必要であるといった違いがあります。
 
このように精神疾患の治療薬にはそれぞれに特徴がありますから、1つずつしっかりと確認して身につけていきましょう。
 

ちょっとした言葉の使い方にも気配りを

 
精神疾患を抱える患者さんは、ストレスになるような仕事や作業をはじめ、どんなことにも真剣に取り組み、それらストレスを真正面に受け止めがちな性質を持っていることが多いです。
それは私たちが発する「言葉」についても同様です。
患者さんが理解しづらい専門用語を避け、かみくだいた表現を心がけることはもちろんですが、私たちが何気なく発した言葉が患者さんに不安を与えたり、傷つけたりすることがあります。服薬指導の際にはいつも以上に「柔らかい言葉」「患者さんがズキリと傷つかない言葉」を用いるように心がけましょう。
 
いくつかの副作用に関する言い換えの例をご紹介しましょう。
 
◇高プロラクチン血症

・患者さんによっては驚きや恐怖を感じるので避けたい表現

女性の場合:生理が遅れる、乳汁が出ることがある
男性の場合:勃起不全、射精障害

・患者さんが受け入れやすい言い換え表現例

女性の場合:胸が張るような感じ、(出産経験のある女性に対して)出産直後のような感じ
男性の場合:性行為がうまくいかないことがある。元気がなくなることがある
 
◇錐体外路症状

・患者さんによっては驚きや恐怖を感じるので避けたい表現

「振戦が出ることがあります」

・患者さんが受け入れやすい言い換え表現例

「少し手が震えるような感じになることがあります」
 
◇アカシジア

・患者さんによっては驚きや恐怖を感じるので避けたい表現

「アカシジアの症状が出ることがあります」

・患者さんが受け入れやすい言い換え表現例

「足が落ち着かないような感じがあるかもしれません」
 
薬剤師による副作用の伝え方が患者さんの服薬拒否につながることもあります。
その方にとってどのような言葉が受け入れやすいのかを考え、発する言葉を選ぶようにしましょう。
 

信頼関係を築くための、ちょっとした知識と技術を身につけよう

患者さんと良好なコミュニケーションをとるためのコツ

 
精神科の患者さんが苦手だという薬剤師は、会話の入り口部分で戸惑うことが多いようです。その原因は精神疾患や治療薬の特徴を、明確にイメージしきれない点にあるのではないでしょうか。
 
患者さんとの信頼関係を醸成していくには、患者さんから出された疑問や不安に対し、丁寧にわかりやすく回答することが大切です。こうした会話のキャッチボールをうまく続けるためにも、精神科領域の疾患や薬剤の特徴を捉えることは不可欠でしょう。
 
今回は精神疾患のうち統合失調症を例に挙げ、治療薬の大まかな使い分けについてみていきます。
 

◇攻撃的、興奮状態、イライラする、睡眠がとれないタイプの患者さん

<処方されることの多い薬剤>
・定型抗精神病薬
フェノチアジン系:クロルプロマジン塩酸塩(商品名:ウインタミン、コントミンなど)など
・非定型抗精神病薬
MARTA:クエチアピンフマル酸塩(商品名:セロクエル)、オランザピン(商品名:ジプレキサ)など

<特徴>
・鎮静、催眠作用が強い

<副作用>

・錐体外路症状については、低用量なら出現する可能性が低い

・処方用量が多いと眠気や過鎮静という副作用につながる

・MARTAでは食欲増進・体重増加作用についても注意深く見守る

 

幻聴、幻覚、妄想があるタイプの患者さん
<処方されることの多い薬剤>
・定型抗精神病薬
ブチロフェノン系:ハロペリドール(商品名:セレネース)など
・非定型抗精神病薬
SDA:リスペリドン(商品名:リスパダール)、ペロスピロン塩酸塩水和物(商品名:ルーラン)、パリペリドン(商品名:インヴェガ)
DSA:ブロナンセリン(商品名:ロナセン)
DSS:アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)
<特徴>
・抗ドパミン作用が強い

・幻覚・妄想・幻聴などを抑える作用が強い

<副作用>

・錐体外路症状を引き起こす可能性が高い

・高プロラクチン血症

 
統合失調症の治療薬は効果発現が早いので、まずは患者さんに処方された日数を確実に服用してもらうことが第1の目標になります。一方、抗うつ薬は効果発現までに時間がかかるため、ある程度の期間継続服用してもらうことが必要であるといった違いがあります。
 
このように精神疾患の治療薬にはそれぞれに特徴がありますから、1つずつしっかりと確認して身につけていきましょう。
 

ちょっとした言葉の使い方にも気配りを

 
精神疾患を抱える患者さんは、ストレスになるような仕事や作業をはじめ、どんなことにも真剣に取り組み、それらストレスを真正面に受け止めがちな性質を持っていることが多いです。
それは私たちが発する「言葉」についても同様です。
患者さんが理解しづらい専門用語を避け、かみくだいた表現を心がけることはもちろんですが、私たちが何気なく発した言葉が患者さんに不安を与えたり、傷つけたりすることがあります。服薬指導の際にはいつも以上に「柔らかい言葉」「患者さんがズキリと傷つかない言葉」を用いるように心がけましょう。
 
いくつかの副作用に関する言い換えの例をご紹介しましょう。
 
◇高プロラクチン血症

・患者さんによっては驚きや恐怖を感じるので避けたい表現

女性の場合:生理が遅れる、乳汁が出ることがある
男性の場合:勃起不全、射精障害

・患者さんが受け入れやすい言い換え表現例

女性の場合:胸が張るような感じ、(出産経験のある女性に対して)出産直後のような感じ
男性の場合:性行為がうまくいかないことがある。元気がなくなることがある
 
◇錐体外路症状

・患者さんによっては驚きや恐怖を感じるので避けたい表現

「振戦が出ることがあります」

・患者さんが受け入れやすい言い換え表現例

「少し手が震えるような感じになることがあります」
 
◇アカシジア

・患者さんによっては驚きや恐怖を感じるので避けたい表現

「アカシジアの症状が出ることがあります」

・患者さんが受け入れやすい言い換え表現例

「足が落ち着かないような感じがあるかもしれません」
 
薬剤師による副作用の伝え方が患者さんの服薬拒否につながることもあります。
その方にとってどのような言葉が受け入れやすいのかを考え、発する言葉を選ぶようにしましょう。
 

成井繁先生プロフィール
成井 繁先生プロフィール
アイ調剤薬局薬局長。精神科薬物療法認定薬剤師。認定実務実習指導薬剤師。日本アンチドーピング機構公認スポーツファーマシスト。
1989年明治薬科大学卒業。2015年10月に日本病院薬剤師会が認定する「精神科薬物療法認定薬剤師」の認定を薬局薬剤師として初めて受け、特に精神科領域の患者さんへの薬物治療に尽力し、地域医療に貢献している。

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