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西洋医学とは異なる理論で処方される漢方薬。患者さんから漢方薬について聞かれて、困った経験のある薬剤師さんもいるのでは? このコラムでは、薬剤師・国際中医師である中垣亜希子先生に中医学を基本から解説していただきます。基礎を学んで、漢方に強くなりましょう!

第4回 中医学3つの特徴(前編)

中医学は大きく分けて3つの特徴が考えられます。これは、中医学が世界的に注目されている理由でもあります。今回は、まずひとつ目の特徴をご紹介します。

特徴1:“百の治療より一の予防”~中医学は予防医学~

病気の治療以上に、そもそも病気にならない=予防することがなにより大切です。
しかし、日本の医療系の学校では、西洋医学的な治療については学びますが、予防医学についてはほとんど学べないのが実情です。実際の医療現場においても、治療メインとなっています。

西洋医学は画像診断・血液検査・診断基準などによって病気か否かをはっきり分けて考えます。それに対し中医学では、病気と健康の間の「半病気」「半健康」というグレーゾーンの手当てに重きをおいています。

まだ病気ではないけれどもその兆候がみられ、放っておくと病気になってしまう状態を「未病(みびょう)」といいます。検査数値には現れず病名はつかないけれど、自覚症状に悩む方の声に耳を傾け、「未病」に気づき手当てすることを「未病先防(みびょうせんぼう)」といいます。

中医学では身体が発する些細なサインを拾い、病気の発症を予測して予防します。発病した場合にも早期で気づいて「体質から根本的に治す」ことで、ほかの臓腑への影響や悪循環を予防します。この予防医学こそが中医学の最大の特徴であり、強みです。

西洋医学のほかに、もうひとつの軸として中医学を自分の中に持つと、流行りすたりのある「○○健康法」に惑わされなくなります。1日水2リットル健康法・ローフード(食材を極力生で摂取する食生活)・極端な糖質制限・ファスティング(断食)・岩盤浴・ホットヨガ・激辛ブームなどなど……どれも体質を選ぶ健康法ばかりです。合う人もいれば合わない人もいます。

漢方薬局にも、流行りの健康法で体調を崩してしまった方がよく相談にいらっしゃいます。中医学の体質診断や養生法は、健康法が自分に合っているかどうかを判断する目安になります。医療従事者をはじめすべての人が、生活全般の軸となる養生法を自分の中に持つことが大切です。

そうすれば、自分自身で初期の風邪対策などもできるようになり、不必要な薬剤の投与や、耐性菌・耐性ウイルスもいくぶんか減速するかもしれません。世の中の健康への意識も変わってくるのではないでしょうか。

中垣 亜希子(なかがき あきこ)

すがも薬膳薬局代表。国際中医師、国際中医薬膳師、管理薬剤師。
薬局の漢方相談のほか、中医学・薬膳料理の執筆・講演を務める。
東京薬科大学薬学部卒業。長春中医薬大学、国立北京中医薬大学、イスクラ中医薬研修塾、国立北京中医薬大学日本校にて中医学を学ぶ。「顔をみて病気をチェックする本」(PHPビジュアル実用BOOKS 猪越恭也著)の薬膳を担当執筆。

すがも薬膳薬局:http://www.yakuzen-sugamo.com/

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