聞きたい!薬局実務裏ワザ 聞きたい!薬局実務裏ワザ

第18回 中垣亜希子 先生

ちょっとした体調不良など、病気としての症状を起こす前の段階「未病」での手当てを可能にしてくれる中医学。今回は、薬膳薬局巣鴨店の中垣亜希子先生に中医学の考えを取り入れたセルフメディケーションの方法についてうかがいました。全6回シリーズです。

Q
風邪のシーズンがやってくると、おすすめの漢方薬はないかと患者さんに聞かれることが増えます。どのような症状のときに、どの漢方薬を勧めればいいのでしょうか。症状の聞き取りのポイントを教えてください。

風邪は「青い風邪」「赤い風邪」「黄色い風邪」の3つに分けて考えよう

 

中医学における風邪の基本タイプは3つ

 

3つの風邪はそれぞれ、ゾクゾクとした寒気がする「青い風邪」、のどのイガイガや痛みがある「赤い風邪」、お腹や胃腸の調子が悪くなる「黄色い風邪」です。

 

「風邪(カゼ)」は、実はそもそも中医学用語で、本来は「風邪(ふうじゃ)」と読みます。
自然界に存在する、6つの邪気のうちの1つとされ、「風」はいろんな邪気と組み合わさって、人体に侵入します。最もよく起こる代表的な邪気の組み合わせは3つあります。まず、「青いカゼ」は「風邪(ふうじゃ)」と「寒邪(かんじゃ)」が組み合わさった「風寒邪(ふうかんじゃ)」タイプの感冒、「赤いカゼ」は風邪と熱邪が組み合わさった「風熱邪」タイプの感冒、「黄色いカゼ」は風邪・寒邪・湿邪の3つが組み合わさった「風寒湿邪」タイプの感冒です。

 

どの体質の人がどの風邪にかかりやすいのかみてみましょう。

 

【青い風邪】 風とともに冷えが合わさった“風寒邪(ふうかんじゃ)”
症状
ゾクゾクとした寒気、肩やうなじのコリ、かるい発熱、頭痛や関節の痛み、透明~白い鼻水と痰、咳・くしゃみ
かかりやすい体質
気虚(エネルギー不足で疲れやすく抵抗力が落ちているタイプ)
陽虚(気虚+冷えの強い体質)
対策処方
ゾクゾクして寒いので、冷えを取り去り、体を温める処方の漢方薬を選びます。
ここでポイントなのは、寒気がして汗をかかない人には葛根湯や麻黄湯を、寒気がすると同時に汗をかく人には桂枝湯を勧めることです。
寒気がして汗をかかないタイプの人は、葛根湯や麻黄湯を服用し、温かい食べ物や飲み物をとって体を温めて汗をたくさんかくことで、寒気の原因になる邪気を発散させます。
一方、寒気がしてかつ汗も出ているタイプの風邪は、葛根湯や麻黄湯など麻黄(マオウ)が含まれる漢方薬を飲むと、さらに汗をかいてしまい、かえって消耗し悪化してしまうので注意が必要です。この場合、桂枝湯を飲みます。

 

【赤い風邪】風+熱の邪気があわさった “風熱邪(ふうねつじゃ)”
症状
のどの痛み、のどが赤い、熱っぽい(体温計の温度ではなく自覚症状として)、寒気はない、すぐに熱を出す、発熱は強め、口の渇き・咳、舌先が赤い、舌の苔が薄く黄色っぽい
かかりやすい体質
陰虚(血液以外の体液(潤い)が不足して、潤い不足のタイプ)
対策処方
体液が不足しているということは、のどの潤いも不足しているということ。だから、のどの抵抗力が弱まって、のどから痛くなりやすいのですね。
「熱邪」が原因の邪気であるため、熱っぽい症状や乾燥症状が多くみられます。
そのため、体を冷やす処方の銀翹散、桑菊飲、麻杏甘石湯、板藍根などの漢方薬をおすすめすると良いでしょう。

 

【黄色い風邪】
風+寒(冷え)+湿(湿気)の邪気があわさった  “風寒湿邪(ふうかんしつじゃ)”

症状
下痢、悪心、食欲不振などの胃腸症状、手足が重くだるい、頭重感、舌の苔が分厚い(口の中のねばつき)、悪寒や発熱がみられることもある
かかりやすい体質
痰湿(余分な水分が体にたまるタイプ)
対策処方
痰湿タイプでは、胃腸のはたらきが弱り、水分の代謝がうまくいかないため、胃腸症状が出やすくなります。そのため、このタイプの風邪を治すには、体を温めて、体の中に停滞した水分を排出することが大切になります。そこで用いる漢方薬としては、藿香正気散、香蘇散、五苓散、板藍根などが挙げられます。

 

どのような体質を持っているかによって、体の弱い部分が異なるため、かかりやすい風邪もこのように異なってくるのですね。
睡眠不足やストレス・食生活の乱れ・運動不足によっても、気虚・血虚・陰虚・気滞などがすすみ、風邪をひきやすくなるので、良質な睡眠・ストレス発散・食養生・適度な運動は大切なポイントです。

 

また、首筋にある『風門(ふうもん)』というツボは、風邪(ふうじゃ)の出入り口とされるツボで、ここにカイロを貼って温めたり、普段からこのツボをおすと邪気が体に入り込むのを予防できます。また、寒気がしてからも、漢方薬を服用しながら風門を温めれば、邪気を体から追い出すのを助け、治りが早まります。風門は首筋の一番出っ張った骨の2つ下の骨の突起から、左右外側指幅2本分離れた位置にあります。左右の風門を同時に、やや強めに約5秒を5回、指圧を繰り返すとよいでしょう。

 

次回は、青・赤・黄の風邪のタイプ別に、風邪の予防方法と養生の仕方をお知らせします。

風邪は「青い風邪」「赤い風邪」「黄色い風邪」の3つに分けて考えよう

 

中医学における風邪の基本タイプは3つ

 

3つの風邪はそれぞれ、ゾクゾクとした寒気がする「青い風邪」、のどのイガイガや痛みがある「赤い風邪」、お腹や胃腸の調子が悪くなる「黄色い風邪」です。

 

「風邪(カゼ)」は、実はそもそも中医学用語で、本来は「風邪(ふうじゃ)」と読みます。
自然界に存在する、6つの邪気のうちの1つとされ、「風」はいろんな邪気と組み合わさって、人体に侵入します。最もよく起こる代表的な邪気の組み合わせは3つあります。まず、「青いカゼ」は「風邪(ふうじゃ)」と「寒邪(かんじゃ)」が組み合わさった「風寒邪(ふうかんじゃ)」タイプの感冒、「赤いカゼ」は風邪と熱邪が組み合わさった「風熱邪」タイプの感冒、「黄色いカゼ」は風邪・寒邪・湿邪の3つが組み合わさった「風寒湿邪」タイプの感冒です。

 

どの体質の人がどの風邪にかかりやすいのかみてみましょう。

 

【青い風邪】 風とともに冷えが合わさった“風寒邪(ふうかんじゃ)”
症状
ゾクゾクとした寒気、肩やうなじのコリ、かるい発熱、頭痛や関節の痛み、透明~白い鼻水と痰、咳・くしゃみ
かかりやすい体質
気虚(エネルギー不足で疲れやすく抵抗力が落ちているタイプ)
陽虚(気虚+冷えの強い体質)
対策処方
ゾクゾクして寒いので、冷えを取り去り、体を温める処方の漢方薬を選びます。
ここでポイントなのは、寒気がして汗をかかない人には葛根湯や麻黄湯を、寒気がすると同時に汗をかく人には桂枝湯を勧めることです。
寒気がして汗をかかないタイプの人は、葛根湯や麻黄湯を服用し、温かい食べ物や飲み物をとって体を温めて汗をたくさんかくことで、寒気の原因になる邪気を発散させます。
一方、寒気がしてかつ汗も出ているタイプの風邪は、葛根湯や麻黄湯など麻黄(マオウ)が含まれる漢方薬を飲むと、さらに汗をかいてしまい、かえって消耗し悪化してしまうので注意が必要です。この場合、桂枝湯を飲みます。

 

【赤い風邪】風+熱の邪気があわさった “風熱邪(ふうねつじゃ)”
症状
のどの痛み、のどが赤い、熱っぽい(体温計の温度ではなく自覚症状として)、寒気はない、すぐに熱を出す、発熱は強め、口の渇き・咳、舌先が赤い、舌の苔が薄く黄色っぽい
かかりやすい体質
陰虚(血液以外の体液(潤い)が不足して、潤い不足のタイプ)
対策処方
体液が不足しているということは、のどの潤いも不足しているということ。だから、のどの抵抗力が弱まって、のどから痛くなりやすいのですね。
「熱邪」が原因の邪気であるため、熱っぽい症状や乾燥症状が多くみられます。
そのため、体を冷やす処方の銀翹散、桑菊飲、麻杏甘石湯、板藍根などの漢方薬をおすすめすると良いでしょう。

 

【黄色い風邪】
風+寒(冷え)+湿(湿気)の邪気があわさった  “風寒湿邪(ふうかんしつじゃ)”

症状
下痢、悪心、食欲不振などの胃腸症状、手足が重くだるい、頭重感、舌の苔が分厚い(口の中のねばつき)、悪寒や発熱がみられることもある
かかりやすい体質
痰湿(余分な水分が体にたまるタイプ)
対策処方
痰湿タイプでは、胃腸のはたらきが弱り、水分の代謝がうまくいかないため、胃腸症状が出やすくなります。そのため、このタイプの風邪を治すには、体を温めて、体の中に停滞した水分を排出することが大切になります。そこで用いる漢方薬としては、藿香正気散、香蘇散、五苓散、板藍根などが挙げられます。

 

どのような体質を持っているかによって、体の弱い部分が異なるため、かかりやすい風邪もこのように異なってくるのですね。
睡眠不足やストレス・食生活の乱れ・運動不足によっても、気虚・血虚・陰虚・気滞などがすすみ、風邪をひきやすくなるので、良質な睡眠・ストレス発散・食養生・適度な運動は大切なポイントです。

 

また、首筋にある『風門(ふうもん)』というツボは、風邪(ふうじゃ)の出入り口とされるツボで、ここにカイロを貼って温めたり、普段からこのツボをおすと邪気が体に入り込むのを予防できます。また、寒気がしてからも、漢方薬を服用しながら風門を温めれば、邪気を体から追い出すのを助け、治りが早まります。風門は首筋の一番出っ張った骨の2つ下の骨の突起から、左右外側指幅2本分離れた位置にあります。左右の風門を同時に、やや強めに約5秒を5回、指圧を繰り返すとよいでしょう。

 

次回は、青・赤・黄の風邪のタイプ別に、風邪の予防方法と養生の仕方をお知らせします。

中垣亜希子先生プロフィール
中垣亜希子先生プロフィール
すがも薬膳薬局勤務の国際中医師、薬膳料理研究家、薬剤師。
東京薬科大学薬学部卒業。長春中医薬大学、北京中医薬大学、イスクラ産業研修塾にて中医学を学ぶ。「顔をみて病気をチェックする本」(PHPビジュアル実用BOOKS 猪越恭也著)の薬膳を担当執筆。
すがも薬膳薬局: http://www.yakuzen-sugamo.com/

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