薬剤師会

MSL在籍数が過去最高‐MR数に占める割合も倍増

薬+読 編集部からのコメント

高度な知識を持ち、医学的・科学的な面から製品の適正使用、製品価値の至適化等を推進するメディカルサイエンスリエゾン(MSL)。国内の製薬企業1社当たりのそのMSLの在籍人数が24.8人と、過去最高となったことが分かりました。
MR数に対するMSLの割合も倍増、キーオピニオンリーダー(KOL)のマネジメントや患者視点に立ったアンメットメディカルニーズの収集といった業務で需要が大きいようです。

製薬医学会調査

 

国内の製薬企業1社当たりのメディカルサイエンスリエゾン(MSL)の在籍人数が24.8人と、2年前に比べて0.8人増加し過去最高となったことが、日本製薬医学会が製薬企業31社を対象に実施した調査で明らかになった。MR数に対するMSLの割合も、平均で4.1%と前回調査の2.2%からほぼ倍増し、MSLの普及が進む結果となった。キーオピニオンリーダー(KOL)のマネジメントや患者視点に立ったアンメットメディカルニーズの収集といった業務で需要が大きいようだ。2年前の前回調査からは医療機関からのMSLの認知が広がる一方で、「MSLのマネジメント」や「MSLと社内他部門との連携」では今もなお、多くの企業が課題と考えており、MSLを組織でどう生かしていくかがテーマといえそうだ。


調査は、同学会がMSL業務に関する現状と将来動向を明らかにする目的で、2年に1度実施しており、今回で4回目となる。4月19日から5月19日まで国内の製薬企業47社を対象に調査を行い、31社から回答を得た。

 

その結果、MSL在籍総数は1社平均で24.8人となり、調査開始以降、右肩上がりで着実に増加し、100人を超える企業も登場した。MR数に占めるMSL比率も、MRが減少傾向にある中、MSLの比率は平均で4%台と浸透しており、最も割合が大きい企業では25%に達した。

 

社内でのMSL活動開始時期は、全体の50%強が過去2~5年以内と回答し、外資系では9割以上、内資では6割以上が2年以上前から活動していた。所属部門を見てみると、メディカルアフェアーズ(MA)にMSLが在籍している企業が65.7%を占めた一方、R&D部門に在籍していると回答した企業は20.6%にとどまった。特に内資系企業では、前回調査で約4割がR&D部門にMSLを置く組織だったが、今回は22%に低下し、R&DからMAにシフトする動きが強まっている傾向にある。

 

MSLの配属前の社内経歴で見ると、内資系企業はR&D部門が最も多く、次に営業部門だったが、外資系企業は営業部門がトップで、R&D、MAと続いた。MSLの学位では、理系の修士取得者が多く目立ったほか、薬学博士の採用企業が2年前の約18%から約30%に増加するという特徴が見られた。

 

MSLの責任範囲や役割には変化が見られている。KOL関連業務や外部顧客に対する専門情報の提供、患者アンメットメディカルニーズの収集などは前回同様に上位回答となったが、「メディカルアドバイザリーボードの立案・実施」「メディカル戦略の策定」を役割に挙げた企業数が全体の5割を超えた。KOLマネジメントに加え、メディカル戦略の高質化においてもMSLが中心的な役割を担うことが期待される結果となった。

 

一方、前回調査で大半の企業がMSLの役割に挙げていた「医師自主研究へのコンサルテーションやアドバイス」「最新医学情報の収集、社内関連部署への提供」は今回の調査結果では5割に届かず、重要度が低下していた。

 

MSLの課題については、MSLのマネジメントや社内部門との連携が最も多かったが、従来から課題とされてきた「顧客からのMSLに対する認知度」では、MSL活動を2年以上にわたって実施する企業が増えた関係で、認知度が向上するという収穫も見られた。MSLの業務評価指標では、KOLへの訪問日数やKOLへの情報提供に対するフィードバックが内外資で共通して採用される一方、内資からは臨床研究支援数、外資からは学会支援数を指標としているとの回答があったという。

 

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出典:薬事日報

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