創薬・臨床試験

19日付承認新薬‐新規抗癌剤続々と登場

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省が1月19日づけで新規に医薬品を承認しました。
がんの領域では、新規作用機序を有するPARP阻害剤「リムパーザ錠」や抗CD22抗体薬物複合体「ベスポンサ点滴静注用」、
免疫チェックポイント阻害剤でも抗PD-L1抗体「テセントリク点滴静注」が加わりました。
また、精神・神経系疾患では、統合失調症治療薬「レキサルティ錠」が承認されました。こちらも新規作用機序のものです。

厚生労働省が19日に承認した新医薬品では、癌領域PARP阻害剤「リムパーザ錠」や抗CD22抗体薬物複合体「ベスポンサ点滴静注用」といった新規作用機序を有する薬剤のほか、免疫チェックポイント阻害剤でも抗PD-L1抗体「テセントリク点滴静注」が加わった。精神・神経系疾患では、新しい作用機序の統合失調症治療薬「レキサルティ錠」が登場した。

 

リムパーザ錠-アストラゼネカ

 

「リムパーザ錠300mg」(一般名:オラパリブ)は、DNA損傷応答(DDR)機能を活用した国内初のPARP阻害剤で、白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌の適応を取得した。DNAの相同組み換え修復機能が機能していない癌細胞に特異的に細胞死を誘導する。

 

同剤の第III相試験「SOLO-2試験」で生じた副作用としては、悪心66%、貧血39%、疲労29%、嘔吐25%、無力症24%、味覚異常23%となっている。

 

アストラゼネカでは、厚生労働省が定める「保険外併用療法費制度」のもとで、同剤の無償提供を治験実施施設など限定された施設で実施している。期間は、各医療機関で準備が整った時点から薬価収載前日まで。

 

同剤は、BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳癌の適応で現在申請している。

 

レキサルティ錠-大塚製薬

 

「レキサルティ錠1mg・同錠2mg」(一般名:ブレクスピプラゾール)は、ドパミンD2受容体・セロトニン5HT1A受容体に強く結合してパーシャルアゴニストとして働き、セロトニン5HT2Aにはアンタゴニストとして働く「SDAM」と呼ばれる新規作用機序を有する統合失調症治療薬。

 

用法用量は、1日1回1mgから投与を開始した後、4日以上の間隔をあけて増量し、1日1回2mgを経口投与する。

 

ベスポンサ点滴静注用-ファイザー

 

「ベスポンサ点滴静注用1mg」(一般名:イノツズマブ オゾガマイシン)は、国内初のCD22を標的としており、モノクローナル抗体と細胞傷害性化合物「カリケアマイシン」で構成された抗体薬物複合体(ADC)となっている。再発・難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病(ALL)の適応で承認を取得。同剤がCD22に結合することで、細胞内に取り込まれ、カリケアマイシンが放出されて細胞を破壊する。

 

同剤は、単剤で週に1回、1時間以上かけて点滴静脈内投与する。外来で投与することも可能だ。

 

ファセンラ皮下注シリンジ-アストラゼネカ

 

「ファセンラ皮下注30mgシリンジ」(一般名:ベンラリズマブ)は、免疫システムを担う白血球の一種である好酸球の表面に発現するIL-5受容体αに直接結合するモノクローナル抗体で、既存治療で喘息症状をコントロールできない気管支喘息の適応で承認を取得した。増強された抗体依存性細胞障害(ADCC)活性によるナチュラルキラー(NK)細胞などの誘発で、プログラム細胞死(アポトーシス)を引き起こし、好酸球を除去する。

 

用法・用量は、固定用量があらかじめ充填されたプレフィルドシリンジの注射剤で、初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射する。

 

テセントリク点滴静注-中外製薬

 

「テセントリク点滴静注1200mg」(一般名:アテゾリズマブ)は、PD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害剤で、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)の適応で承認を取得した。

 

PD-L1は、T細胞の表面上に発現するPD-1、B7.1の双方と結合し、T細胞の働きを阻害するが、テセントリクがこの結合を阻害し、T細胞の抑制状態を解除することで、T細胞による腫瘍細胞への攻撃を促進すると考えられている。

 

デュピクセント皮下注シリンジ-サノフィ

 

「デュピクセント皮下注300mgシリンジ」(一般名:デュピルマブ)は、アトピー性皮膚炎などアレルギー性疾患の慢性炎症で中心的な役割を果たしていると考えられているIL-4とIL-13の過剰な働きを特異的に阻害するモノクローナル抗体で、既存治療で不十分なアトピー性皮膚炎の適応で承認を取得した。

 

アトピー性皮膚炎では、ステロイドやタクロリムスなど既存の抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても十分な効果が得られない患者に対して、長期的に仕様できる治療法は限られているのが現状だ。

 

用法・用量は、成人には初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間間隔で皮下投与する。

 

サチュロ錠-ヤンセンファーマ

 

「サチュロ錠100mg」(一般名:ベダキリンフマル酸塩)は、結核菌のエネルギー生成に必須であるアデノシン5-三リン酸(ATP)合成酵素を特異的に阻害するジアリルキノリン系の多剤耐性肺結核治療薬。増殖期、休眠期の結核菌のいずれに対しても殺菌活性を示す。

 

アレサガテープ-久光製薬

 

「アレサガテープ4mg・同テープ8mg」(一般名:エメダスチンフマル酸塩)は、経皮吸収型のアレルギー性鼻炎治療薬で、独自の経皮薬物送達システム(TDDS)を用いて開発した全身性のテープ剤。

 

用法・用量は、成人には1回4mgを胸部、上腕部、背部、腹部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替える。症状に応じて8mgに増量できる。

 

製剤の大きさは、アレサガテープ4mgで8cm2、8mgで16cm2となっている。

 

ネイリンカプセル-佐藤製薬

 

「ネイリンカプセル100mg」(一般名:ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物)は、爪白癬に対するトリアゾール系抗真菌剤。経口爪白癬治療薬としては、約20年ぶりの新薬誕生となる。エーザイが創製した薬剤で、薬価収載後は佐藤製薬とエーザイが共同販促を行う。

 

グーフィス錠-EAファーマ

 

「グーフィス錠5mg」(一般名:エロビキシバット水和物)は、胆汁酸のトランスポーターを阻害し、自然な排便を促すことが見込まれる慢性便秘症治療薬。薬価収載後は、EAファーマと持田製薬が共同販売を行う。

 

ナルベイン注-第一三共プロファーマ

 

「ナルベイン注2mg・同注20mg」(一般名:ヒドロモルフォン酸塩酸)は、中等度・高度の疼痛を伴う癌に対する鎮痛薬。即放錠・徐放錠が既に承認されている。

 

イブリーフ静注-千寿製薬

 

「イブリーフ静注20mg」(一般名:イブプロフェンL-リシン)は、未熟児動脈管開存症治療剤として承認を取得。日本未熟児新生児学会(現日本新生児成育医学会)が厚生労働省に未承認薬・適応外薬の要望書を提出し、開発支援品目として選定された後に開発企業が公募され、千寿製薬が開発を受諾した。

 

ネキシウムカプセル/同懸濁用顆粒分包-アストラゼネカ

 

「ネキシウムカプセル10mg・同カプセル20mg」(一般名:エソメプラゾールマグネシウム水和物)は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎(初期治療)、非びらん胃食道逆流症、ゾリンジャー・エリソン症候群の効能・効果に、1歳以上の幼児・小児の用法・用量を追加する一部変更承認を取得。

 

また、同一の効能・効果を有する「ネキシウム懸濁用顆粒分包10mg・同懸濁用顆粒分包20mg」の承認を取得した。

 

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出典:薬事日報

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