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新規の糖尿病治療配合剤など‐新薬5件の承認・一変了承

薬+読 編集部からのコメント

2017年6月9日、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は糖尿病治療薬「カナリア配合錠」など5件の承認と一部変更承認申請を審議し、了承しました。「カナリア配合錠」は国内初のDPP-4阻害薬「テネリア」(20mg)とSGLT2阻害薬「カナグル」(100mg)の配合剤ということです。

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は9日、田辺三菱製薬のDPP-4阻害剤とSGLT2阻害剤を配合した糖尿病治療薬「カナリア配合錠」など5件の承認と一部変更承認申請を審議し、了承した。

 

審議品目

 

パルモディア錠0.1mg(興和):新有効成分のペマフィブラートを含有し、高脂血症(家族性を含む)を効能・効果とする。

 

同剤は、脂質代謝に関わる種々の遺伝子の発現を調節することで中性脂肪(トリグリセリド:TG)を低下させる作用を示すフィブラート系薬剤。

 

用法・用量は、1回0.1mgを1日2回朝夕に経口投与する。年齢、症状に応じて適宜増減するが、最大用量は1回0.2mgを1日2回までとする。

 

再審査期間は8年。2017年3月現在、海外で承認されている国・地域はなく、欧米などで開発が行われている。

 

ルボックス錠25、同錠50、同錠75(アッヴィ)、デプロメール錠25、同錠50、同錠75(Meiji Seika ファルマ):有効成分のフルボキサミンマレイン酸塩を含有し、強迫性障害(小児)の効能・効果で新用量を追加する。

 

いずれも選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)。強迫性障害の適応を持つ薬剤にパキシル錠があるが、成人患者に適応が限られており、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で企業に小児適応の開発が要請されていた。

 

用法・用量は、8歳以上の小児に1日1回25mgの就寝前経口投与から開始し、その後、1週間以上の間隔を空けて1日50mgを1日2回朝および就寝前に経口投与する。1日150mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔を空けて1日用量として25mgずつ行う。

 

再審査期間は4年。海外では、小児の強迫性障害について、欧米など90の国・地域で承認されている。

 

ビプレッソ徐放錠50mg、同150mg(アステラス製薬):有効成分のクエチアピンフマル酸塩を含有し、双極性障害におけるうつ症状の改善の効能・効果を追加する。

 

同剤は、ドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2受容体を阻害する非定型抗精神病薬。徐放錠の新剤形を追加すると共に、双極性障害におけるうつ症状に対する治療選択肢を増やした。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で企業に開発要請されていた。

 

用法・用量は、1日50mgから開始し、2日以上の間隔を空けて1日150mgへ増量する。その後、さらに2日以上の間隔を空けて、維持用量である1日300mgに増量する。いずれも1日1回就寝前とし、空腹時に経口投与する。

 

再審査期間は4年。海外では、16年11月現在、双極性障害におけるうつ症状に関連する効能・効果で欧米など75の国・地域で承認されている。

 

スピンラザ髄注12mg(バイオジェン・ジャパン):新有効成分のヌシネルセンナトリウムを含有し、乳児型脊髄性筋委縮症を効能・効果とする。

 

脊髄性筋萎縮症(SMA)は、遺伝子の変異により脊髄前角における運動ニューロンの変性が生じ、四肢および体幹の随意筋の萎縮を生じる疾患。14年度に特定疾患受給者証の交付を受けたのは894件で、乳児型の患者数は全体の約58%と報告されている。

 

同剤は、mRNA前駆体に結合し、スプライシングを調整することで、SMN2転写産物におけるエクソン7含有率を増加させ、全長型のSMNタンパク発現を増加させるアンチセンスヌクレオチド製剤。

 

希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では、16年12月に米国で、17年5月に欧州で承認されている。

 

カナリア配合錠(田辺三菱製薬):有効成分のテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物とカナグリフロジン水和物を含有し、2型糖尿病(ただし、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物およびカナグリフロジン水和物の併用による治療が適切と判断される場合に限る)を効能・効果とする。

 

同剤は、DPP-4阻害薬「テネリア」(20mg)とSGLT2阻害薬「カナグル」(100mg)の配合剤で、二つの成分を組み合わせた配合剤は国内初となる。

 

用法・用量は、1日1回1錠を朝食前または朝食後に経口投与する。

 

再審査期間は残余の22年7月3日まで。海外では、テネリアとカナグルの配合剤は承認されていないが、他のDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤は承認されている。

 

報告品目

 

オルダミン注射用1g(富士化学):有効成分のモノエタノールアミンオレイン酸塩を含有し、胃静脈瘤の退縮の効能・効果を追加する。

 

同剤は、胃静脈瘤に対する根治的治療法である「バルーン閉塞下逆行性経静脈塞栓術」(BRTO)に用いるもので、血管内皮細胞傷害作用により、静脈内に血栓を形成させ、閉塞血栓による静脈瘤の虚脱および血栓の器質化により静脈瘤を硬化退縮させる。

 

再審査期間はなし。

 

ジャドニュ顆粒分包90mg、同360mg(ノバルティスファーマ):有効成分のデフェラシロクスを含有し、輸血による慢性鉄過敏症(注射用鉄キレート剤治療が不適当な場合)を効能・効果とする新剤形医薬品。

 

同剤と同じ成分で「エクジェイド懸濁用錠」があるが、錠剤を水に溶かしながら服用するという懸濁の手間や味の悪さなどの課題があったため、より服用しやすい顆粒剤として開発された。

 

再審査期間はなし。

 

リツキサン注10mg/mL(全薬工業):有効成分のリツキシマブ(遺伝子組み換え)を含有し、慢性特発性血小板減少性紫斑病の効能・効果と用法・用量を追加した。

 

同剤は、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の検討で公知申請が妥当とされ、今年3月の医薬品第一部会が公知申請を行って差し支えないと結論づけたもので、既に保険適用されている。

 

再審査期間はなし。

 

1件の公知申請了承

 

この日の部会では、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で適応拡大が妥当と判断された1件の事前評価を行い、公知申請をして差し支えないと結論づけた。同日付で保険適用された。

 

ジプレキサ錠、同ザイディス錠(一般名:オランザピン):抗悪性腫瘍薬(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)の適応を追加。

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出典:薬事日報

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