創薬・臨床試験

市販後ビジネス、国内で創造‐PMSモニター設置、人材とRWDを融合

薬+読 編集部からのコメント

クインタイルズIMSが、医薬品の市販後ビジネスを強化します。

来年4月から医薬品の製造販売後調査及び試験の基準に関する省令(GPSP省令)の改正、国の医療情報データベース(MID-NET)の本格運用が始まり、市販後のデータ収集が重要となる環境を見越した動きです。

1.製造販売後調査(PMS)2.安全性情報管理3.実臨床のリアルワールドデータ(RWD)研究による薬剤評価の3つを重点領域としています。

クインタイルズIMSは、実臨床データを活用し、製薬企業向けに上市医薬品の育薬を支援するビジネスを強化する。重点領域に位置づけるのは、▽製造販売後調査(PMS)▽安全性情報管理▽実臨床のリアルワールドデータ(RWD)研究による薬剤評価――の三つ。来年4月から医薬品の製造販売後調査及び試験の基準に関する省令(GPSP省令)の改正、国の医療情報データベース(MID-NET)の本格運用、2月には臨床研究法の省令公布と国内で市販後エビデンスを創出する環境が整備される中、施設契約ベースでの研究に強いクインタイルズと、RWDを使った研究デザインや解析ノウハウを持つIMSヘルスの強みを融合し、新規市場を開拓する。


同社は、グローバルCROでは最大手だが、クインタイルズとIMSの統合でCROビジネスの変革に取り組む。既に治験では、IMSのデータベースを通じて、全国の各医療機関が治験デザインに適した患者をどの程度組み入れられるのかを可視化し、治験実施可能性のフィージビリティを調査。これにより、最適な実施医療機関を選定し、追加症例の組み入れや新たな治験実施医療機関の追加や再選定をなくし、開発期間の短縮やコスト削減を図っている。

 

今後、力を入れるのは、治験支援から一歩進め、レセプトや電子カルテなど上市後の実臨床データを活用した支援ビジネスだ。国内では、世界に先駆けて上市される“世界初医薬品”が登場しているほか、GPSP省令改正で使用成績比較調査や製造販売後データベース調査が追加され、再審査にRWDが活用できるようになるなど、市販後にエビデンスを構築する体制が求められ、CROにとって商機となっている。

 

ただビジネスを展開していく上では、「類薬と比較した有効性・安全性を確認したい」「医薬品の適正使用状況を把握したい」「薬剤を切り換えた場合のアウトカムを検証したい」などの多様な目的に対し、使用するデータベースの選択や最適な研究デザインを立案するノウハウ、研究実施からデータ解析、適切に評価するプロセスの標準化が必要になる。同社では、もともと旧クインタイルズが2012年にRWD研究に強い米アウトカムを買収しており、観察研究での実績を多く保有。そこにIMSのノウハウを融合させ、RWDを活用した研究デザインの設計から実施、データ解析、報告書作成まで一気通貫で行う体制を構築する。非介入型の観察研究では月に5~6件の見積もりが来ており、この数年、受注が倍増している状況だ。

 

RWD研究が製薬企業が行う市販後業務を全て代替するわけではなく、同社では人的リソースを強化し、RWDと人材を結びつけた市販後ビジネスを推進する。PMSに関して専任のモニターやデータマネジメントの人材などを配置し、製薬企業から受注したPMSに関して、期間内に調査を完了できるよう支援する。従来、MRが行っていた調査票の回収をPMSモニターが代行し、MRがプロモーションに集中できる環境をサポートする。治験のモニターを活用せずに、専任のPMSモニターを置くことで、医師とのコミュニケーション強化やコスト低減につなげる。

 

安全性管理業務では近年、製薬企業からの需要が急拡大し、人員数が120人にまで増強。海外と共通した標準業務手順書と管理システムを完備し、人工知能やロボットを活用したプロセス自動化にも取り組み、ITとコンサルティングを組み合わせたサービス提供に取り組んでいく。

 

そして重視するのがデータの信頼性の確保。研究に用いるデータベースについては、蓄積された患者情報の質を十分に検証し、研究デザインの妥当性を評価しているという。製薬企業は、自社医薬品の価値最大化に向け、潜在的な有効性を検討する研究には積極的である一方、他剤と安全性を比較する調査に関しては躊躇しているとの声もあるが、「特定の有害事象で薬剤との因果関係を検証する際に、研究の定義となる対象患者が見えている薬剤については引き合いが多い」(品川丈太郎臨床開発本部長)という。

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出典:薬事日報

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