薬剤師会

大麦若葉末が腸内細菌層改善‐東京大学との共同研究で確認

薬+読 編集部からのコメント

東洋新薬と東京大学の共同研究で、青汁などの原材料に使われる大麦若葉末の摂取が腸内細菌叢の改善を促すことが確認されました。8週間継続して摂取させる二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験です。

大麦若葉末摂取開始から4週間、8週間いずれもの被験者頬の皮膚において、角質水分量の変化を測定したところ、プラセボ群と比較して有意な増加が認められました。

青汁などの原料となる大麦若葉

青汁などの原料となる大麦若葉

 

健康食品・化粧品の総合受託(ODM)メーカーの東洋新薬(本社福岡市)は、東京大学分子細胞生物学研究所の白髭克彦教授との共同研究において、大麦若葉末の摂取が腸内細菌叢の改善を促す作用を確認した。これら検討結果を、3月15~18日にかけて名城大学天白キャンパスで開かれた日本農芸化学会2018年度大会で発表した。

 

同社は一昨年の10月に東京大学と連携協定を締結し、健康食品、化粧品等の新規素材開発および製剤技術開発とその実用化に向けた共同研究の推進に取り組んでいる。具体的には東京大学産学協創推進本部と共に研究テーマの探索から取り組み、いくつかの共同研究が進行しており、今回の発表はその成果の第1弾となる。

 

検討に用いた大麦若葉末は、イネ科オオムギの若葉部を乾燥、微粉砕加工した機能性食品素材で、食物繊維を豊富に含み、便通改善作用などを持つことが知られ、青汁などの原料として用いられている。

 

これまでの研究で、大麦若葉末の摂取により角層水分量の増加など、皮膚の状態改善作用を示す結果が得られていたが、そのメカニズムは明らかとなっていなかった。今回は、そのメカニズムを解明すべく、大麦若葉末の摂取による皮膚状態の改善作用および腸内細菌叢の改善作用を、ヒト試験で検証した。

 

乾燥による肌荒れなどを有する健常成人女性28人を無作為に2群に分け、大麦若葉末を含む食品(大麦若葉末群)、または大麦若葉末を含まない食品(プラセボ群)を8週間継続して摂取させる二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施した。

 

摂取開始前、摂取4週間後および8週間後に、頬の角層水分量(皮膚表面の角層に含まれる水分量で、肌の潤いの指標となる)の測定を行い、また摂取開始前と摂取8週間後の被験者の便を採取し、次世代シークエンサーを用いた16SリボソームRNA解析によって、腸内細菌叢の同定を行った(解析は東京大学分子細胞生物学研究所)

 

その結果、大麦若葉末群では摂取4週間後、および8週間後の頬の角層水分量の変化量において、プラセボ群と比較して有意な増加が認められた。また、摂取前後の腸内細菌叢の変動に関して、大麦若葉末群ではプラセボ群と比較して、善玉菌とされるBifidobacterium longumの増加傾向が認められ、悪玉菌とされるClostridiaceae科とErysipelotrichi網の有意な減少、または減少傾向が認められた。

 

以上のことから「大麦若葉末の摂取により皮膚の状態が改善されることが示され、そのメカニズムが大麦若葉末摂取による腸内細菌叢の改善によるものであることが示唆された」とした。

 

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出典:薬事日報

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