創薬・臨床試験

主力品が後発品の影響で苦戦‐製薬大手18年3月期決算出揃う

薬+読 編集部からのコメント

武田、アステラス、第一三共、エーザイ……国内大手製薬4社の2018年3月期決算が確定しました。
シャイアーの巨額買収提案で巷をあっといわせた武田は、海外全地域での増収と、約6割の最終増益、エーザイも11期ぶりに2桁増収でした。
しかしアステラスは7期ぶりに減収減益、第一三共は2桁の営業減益で、明暗を分ける形となりました。

エーザイ、11期ぶり二桁増収増益‐アステラス、第一三共は減益

国内製薬大手4社の2018年3月期決算が出揃った。武田薬品は海外全地域での増収と6割の最終増益、エーザイも11期ぶりに二桁の増収増益を達成したが、アステラス製薬は7期ぶりの減収減益、第一三共も米国事業の不振で二桁の営業減益となり、対照的な決算となった。アステラスは国内主力の降圧剤「ミカルディス」、第一三共はグローバル戦略品の降圧剤「オルメサルタン」で後発品の影響が大きかった。19年3月期は、国内の薬価制度抜本改革の影響に加え、主力品の特許切れに直面する武田や第一三共、国内長期収載品事業を譲渡したアステラスが減収を計画し、厳しい業績が予想される一方、抗癌剤「レンビマ」に関する米メルクからのマイルストン収入が見込まれるエーザイは増収増益と好調が続く見通し。


武田は、注力分野である消化器疾患、癌、ニューロサイエンスでそれぞれ成長し、2.2%増となり、為替影響を除く実質ベースでは約5%増と堅調だった。横ばいとなった日本を除く全ての地域で増収となった。日本市場への経営依存度はさらに低くなり、医療用医薬品の海外売上比率が通期で初めて70%を超えた。

製品別では、潰瘍性大腸炎治療剤「エンティビオ」は約40%増と売上高で2000億円を突破。抗潰瘍剤「タケキャブ」も61%増、ニューロサイエンスにおいても大うつ病治療剤「トリンテリックス」が51%増と大幅に伸長した。癌領域でも、経口多発性骨髄症治療剤「ニンラーロ」が58%増、米国物質特許が満了した注射剤「ベルケイド」は0.2%減となった。

エーザイは唯一、二桁の増収を達成し、6000億円に業績を回復した。レンビマなどグローバル製品の成長やメルクとの契約に関する収益などが貢献した。レンビマが50%増と業績を牽引し、抗てんかん薬「ファイコンパ」も41%増と成長した。

地域別では、制吐剤「アロキシ」の特許裁判の影響を受けたアメリカス以外では、中国の14%増をはじめ日本を含めた全地域で増収となった。

アステラスは、海外では全地域で売上を伸ばしたが、国内の不振をカバーできなかった。国内は、ミカルディス製剤が後発品の想定以上の浸食を受け、50%減と落ち込み、12%減となった。グローバルで主力の抗癌剤「エンザルタミド(一般名)」は国内が11%増、米国が9%増、欧州・中東・アフリカのEMEAが14%増、アジア・オセアニアが47%増となり、16%増の2943億円と3000億円に迫った。

泌尿器の過活動膀胱フランチャイズでは「ベシケア」が11%減と落ち込んだが、ミラベグロン製剤が27%増となった。

第一三共は、主力の降圧剤「オルメサルタン」が後発品の影響で約3割の売上減となったものの、抗凝固剤「エドキサバン」が国内、欧州、アジアを中心に伸長した結果、2倍以上に成長し、0.5%の増収を確保した。

だが、米国で苦戦を強いられている。米子会社「ルイポルド」は19%増と成長したが、第一三共インクでオルメサルタンなど複数の製品が落ち込み、47%減と売上の半分が消えた。さらに、米チャールストン・ラボラトリーズとの制吐剤配合鎮痛剤「CL-108」に関する米国販売契約を解除したことによる減損損失278億円を計上した。

利益面では、アステラスと第一三共が二桁営業減益と落ち込んだ。武田は、長期収載品の譲渡益が前期に比べ減少したが、和光純薬の株式譲渡益1063億円を計上し、増益。エーザイもメルクとの契約に関する収益により二桁増益となった。

19年3月期は、武田がベルケイドの米国での後発品参入で減収大幅減益、アステラスも減収増益を計画し、事業譲渡と為替の影響を除くと売上・利益が横ばいを見込む。第一三共は、オルメサルタンの売上減に引きつづき直面する見通しだが、経費削減等で減収営業増益を予想。エーザイはレンビマの適応症の拡大、メルクからのマイルストン収入等で唯一の増収増益と好決算を計画する。

 

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出典:薬事日報

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